米田結(橋本環奈)の神戸栄養専門学校の同級生である湯上佳純は、開業医の娘で生っ粋の“お嬢さま”。入学時から「栄養で世界を救う」という高い理想を持っています。
普段はものごし柔らかですが、一度火がつくと止まらないところがあり、矢吹沙智(山本舞香)と口ゲンカになったら一歩も引かない気の強さも。結、沙智、森川学(小手伸也)と同じ実習班(J班)になって学ぶうちに、絆を深めていきます。
そんな佳純を演じるのは、朝ドラ初出演となる平祐奈さん。見た目と内面にギャップがある佳純というキャラクターの魅力や印象に残っているJ班のシーンなどについて聞きました。
佳純と同じ兵庫県出身なので、朝ドラで関西弁のセリフを話せるのがすごくうれしい
――佳純が家出して米田家に押しかけるシーンでは、自由気ままな佳純に笑ってしまいました。でも、なぜ佳純は家出をする時に結を頼ろうと思ったのでしょうか。
最初、佳純は結ちゃんともぶつかっていましたけど、結ちゃんには包容力というか、どんな人も受け入れてくれる安心感があるんですよね。だから、自分が困った時には結ちゃんを頼ったんじゃないでしょうか。それに佳純自身、見た目はギャルじゃないですけど、自分を貫くギャルマインドを持っているので、結ちゃんの“好きなことを貫く姿勢”に佳純も共感しているんだと思います。
――米田家での撮影はいかがでしたか?
めちゃくちゃ面白くて楽しかったです(笑)。米田家の皆さんって、みんな個性豊かだし、カメラがまわっていない時も仲よしで、本当にずーっとおしゃべりしているんです。撮影の時はそこに私も混ぜてもらったので、ずっと笑っていましたね。お寿司を食べながら、「みんな、本当に食べたいネタはどれ?」とか言い合ったりして、本当に友達の家に行ったみたいな感じでした。
――佳純はゆるふわなお嬢さまなのかなと思いきや、口の悪い沙智に負けずに言い返すなど、意外に強いキャラクターですよね。
最初オファーをいただいた時は、主人公の専門学校での同級生というざっくりとした役柄しか伺っていなかったのですが、台本を読んでみたら、神戸のすごいお嬢さまだけど、バリバリの関西弁をしゃべるし、一度決めたことは曲げない、めちゃくちゃ芯の強い女の子でした。私も佳純と同じ兵庫県出身ですので、朝ドラで関西弁のセリフを話せるのはすごくうれしいです。
佳純は一度決めたら目標に向かって行動を起こすことができる強さを秘めた女の子
――演じていく中で、平さんが感じた佳純の魅力はどんなところですか?
湯上家は代々医者の家系で、佳純は末っ子なので、たぶんすごく甘やかされて育ってきていると思うんです。でも、ちゃんと自分のやりたいことや進みたい道がはっきりしていて、お父さんにそれを反対されても、きちんと反論できる。
見た目はお嬢さまだけど、自分の目標や夢を貫く芯の強さを持っていて、そういうギャップが魅力だなと思います。一度決めたら目標に向かって行動を起こすことができるところは、私自身もすごく共感できますね。だからなのか、今回佳純を演じるにあたっては、自然に役に入れました。
――平さんと佳純がシンクロしている部分が多かったんですね。
そうですね。そういう芯の部分に共感できたから、すんなり佳純を自分の中に落とし込めていた感覚はあります。急に家出したり、サッチン(沙智)と言い争ったり、佳純はお嬢さまらしからぬ行動に出ることが多々ありますが、まわりからどう見られようと、自分の思いを守るためにちゃんと戦えるすてきな子だと思います。そういうところは、ギャルマインドなのかもしれないですね。
――橋本環奈さん、山本舞香さん、小手伸也さんとのチームワークはいかがですか?
環奈ちゃんとはデビュー作(映画『奇跡』)で共演していたので、この「おむすび」という作品でまたご縁を結んでもらうことができて、とてもうれしいです。舞香ちゃんも小手さんも以前共演したことがあるので、すぐに馴染めましたね。
J班のメンバーは個性豊かでクセが強いので、現場では絶対誰かしらがずっと話しています。おとなしいキャラが一人もいないので、4人で朝から晩まで撮影をしていると、「しゃべっていない時がないよね」っていう感じでした(笑)。
――小手さんはちょっと世代が違いますが、最初から小手さんも交えておしゃべりが盛り上がっていたんですか?
確かに、最初は小手さんが同級生として一緒にいるのがすごく不思議で、小手さんもちょっと戸惑いを感じられていたと思います。ですが、だんだん小手さんも素を出してくれるようになったというか、私たちをいろいろ笑わせてくれるようになって、そこからは4人でおしゃべりすることが増えました。
第42回(11月26日放送)では、体力測定でシャトルランをするシーンがあったのですが、小手さんが大げさに転んだりしてくれて、みんなでそれを見て爆笑していました(笑)。現場では、毎回笑いをこらえるのが大変だったんですよ。
サッチンとの口ゲンカシーンはすごく楽しかったです!
――入学当初、佳純と沙智はかなり険悪でしたが、ようやく沙智を含めた4人でプリクラを撮ることもできました。佳純の中で、沙智の印象はどう変わっていったのでしょうか。
サッチンは苦しい過去があったから、すごく強い思いでスポーツ栄養士という高い目標を目指していたんですよね。そのために周囲に対してキリキリしていたんだなって分かってからは、佳純の中で、サッチンは心優しい思いやりのある女の子という印象に変わったんだと思います。
サッチンは自分の思っていることを素直に言えないタイプで、ちょっとトゲのある言い方をしちゃうんですよね(笑)。仲よくなってからは、そういうサッチンの毒舌が出ても、佳純たちも「また言ってる〜」みたいな感じで、逆にそこがサッチンのかわいいところだなって感じているんだと思います。
――J班の4人でのシーンが多かったと思うのですが、印象に残っている場面はありますか?
やっぱりサッチンとの口ゲンカですね。専門学校のお昼休みに、佳純と結ちゃんが一緒にご飯を食べていると、2人の話を盗み聞きしたサッチンが嫌味を言ってきて、最終的には佳純とサッチンのバトルになっちゃうシーンがあったんです。
早口でテンポよくポンポン言い合うのがすごく楽しかったですね。普通、掛け合いのシーンって演じるのが難しいはずなんですけど、相手が舞香ちゃんだったので、すごくスムーズに演技ができ、とても好きなシーンになりました。
――ようやく一つにまとまったJ班がチームとして課題に挑んでいくと思います。平さんは視聴者の皆さんにどんなところに注目してほしいですか?
包丁を握ったことがなく料理も自分で作ったことがない佳純が、栄養専門学校に入って仲間たちと出会い、学び、少しずつ自立しはじめています。目標や夢を叶えたいという佳純の強い気持ちは、本当に大事なんだって感じます。佳純だけでなく、「おむすび」の登場人物は皆さんそうなんです。
見ている方は誰かしらに共感できると思いますので、一緒に登場人物たちの成長を見守ってあげてください。学校を卒業してJ班のそれぞれが自分の道を進むようになっても、佳純にはこれからも頑張ってほしいし、4人がお互いにいい影響を与えられるような関係性でいてくれたらうれしいです。
たいら・ゆうな
1998年生まれ。兵庫県出身。主な出演作に、映画『恋は光』、ドラマ「まだ結婚できない男」「ひまわりっ」「この素晴らしき世界」など。NHKでは、「立花登青春手控え」「夕凪の街 桜の国2018」「流れ星」などに出演。今作が連続テレビ小説初出演となる。