栃木県出身のしょうは、福岡西高校に野球留学中の高校球児。将来有望なピッチャーである翔也は、四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれています。糸島に練習場があるため、主人公・よねゆい(橋本環奈)と時々出くわすうち、次第に結と交流を深めていきました。

そんな翔也を演じるのは、朝ドラ初出演となる佐野勇斗さん。翔也の結に対する思いの変化や、翔也というキャラクターの魅力について聞きました。


結はたくさんのものを人に与えられる人間。そういう“米田家の呪い”に、翔也は惚れたんだと思います

――今日は、ついに翔也と結の思いが通じましたね。翔也はいつから結のことを好きになっていたんでしょうか。

たぶん翔也は、出会った時から結のことが気になっていたと思うんです。結自身は“米田家の呪い”って言ってますけど、帽子を海に落として泣いている子どものために海に飛び込むってすごいことじゃないですか。そこから、結のことをどんどん知っていくうちに、なぜかすごく気になるし、気がついたら考えちゃう存在になっていったのかなと。

でも、翔也はすごくピュアなので、好きっていう気持ちは自覚していなくて、はっきりと恋に落ちたのは、自分のために怪我けがをしながら毎日お弁当を作ってきてくれた時だと思っています。結は、自分よりも人のことを優先できるし、たくさんのものを人に与えられる人間。そういう“米田家の呪い”に、翔也はれたんだと思います。

――「甲子園に行ったら、告白する」という予告告白(?)も翔也らしいなと感じました。佐野さんご自身は翔也をどんなキャラクターだと思っていますか?

翔也はド直球な青年で、自分を飾らないんです。どうしても、この年頃の男の子ってカッコつけちゃうと思うんですけど、翔也はそういうところが全然ない。野球にもひたむきに取り組んでいるし、結のことが好きだと思ったら、ムードも考えずに好きって言っちゃうし、人目をはばからずに泣いちゃうし。

その真っすぐさが翔也の魅力だと思っています。とても正直でうそをつけないから、まわりからは「アホなん?」って言われたりもするんですけど(笑)、すごく愛すべきキャラクターですよね。

――結を演じる橋本環奈さんとの共演は2回目だそうですね。現場での橋本さんの印象はいかがですか?

僕より年下なのに、現場の雰囲気を作ってくれるし、まわりに努力しているところを見せない。朝から夜まで撮影があって大変でも、現場では元気いっぱいで。彼女からしたら当たり前なんでしょうけど、セリフもしっかり準備しているし、まわりにも気を遣えるし、純粋に尊敬します。

演技の面でも、本番になるとスイッチがカチッと入る瞬間があって。本人も気づいていないと思うんですけど、橋本環奈から米田結にパッと変わるんです。それを見ると僕も自然と翔也になれるというか、スイッチを入れてもらえています。

――翔也を演じる上で、大切にしていることはありますか?

変に力まないというか、自然体でいることは意識しています。でも、翔也と僕には共通点が多いので、演じやすい部分はありますね。サクセスロードマップを書いていたり、結の前でわんわん泣いちゃうような涙もろいところとかは、自分と似ているなって思います。

もちろん栃木弁を話すところは違うんですけど、中身という意味では本当にそっくりで。違うところは、僕は高校時代にカッコつけちゃってたところくらいかもしれないです(笑)。

――朴訥ぼくとつとした栃木弁も翔也のキャラクターにピッタリです。栃木弁のセリフには苦労されましたか?

最初は栃木弁がすごく心配だったんです。台本を覚えるために、ことば指導の先生が吹き込んでくれたテープを何度も聞いたりして。でも、意外に上手く話せているみたいで、先生からも「栃木出身だったの?」と言ってもらえるようになって自信がつきました。

栃木の方からしたら、「全然違う!」って思われるかもしれないんですけど、今は逆に標準語のセリフを話すのに違和感を覚えるくらい、栃木弁に馴染なじんでいます(笑)。特に「鬼怒川の河童かっぱって呼ばれてたんだかんな」っていうセリフが好きで、なぜかずっと頭から離れないんですよね。


日記をつけることで、夢を実現する気持ちを維持しています

――先ほど翔也と似ている点としてあげられていましたが、佐野さんもサクセスロードマップを書いていらっしゃるんですか?

実は4年前くらいから日記をつけていて。自分がちゃんと仕事を頑張れているのか不安に感じていた時期があって、その時に今の自分に必要なことを可視化するために、日記を書き始めたんです。まず、「目を見て挨拶する」とか本当に細かいことなんですけど、1日の目標を書いて。

あとは、仕事における長期目標、例えば、「M!LK(所属するボーカルダンスユニット)としてドームツアーをやりたい」とか「朝ドラに出たい」とか「大河ドラマに出たい」とか書くんです。その他にも、やらなきゃいけないタスクとか、どんな時に感情が動いたかとか、英語の日記も書いています。

――それを4年も続けているなんて、すごいです! しかも、日記の効果なのか、結構夢が実現していませんか?

たまに忘れちゃって、2日分まとめて書いたりもするんですけど(笑)、確かに日記効果はあるのかもしれない。最初はアリーナツアーが目標だったんですけど、それが実現したので、目標をドームツアーに変更したんです。朝ドラ出演もかなったし。

やっぱり、その時は「やるぞ!」って思っても、人間って忘れる生き物だから、どうしても1か月後には気持ちが弱くなっちゃうと思うんです。だから、自分で目標を毎日書くことによって、気持ちを維持できるし、今日は目標を叶えるための動きができたかなって考えるきっかけにもなります。

――朝ドラ出演は、ずっと目標として日記に書いていらしたんですか?

そうですね。デビュー当時からずっと、インタビューの時も将来の夢としてあげていました。この仕事をしていく上で、家族や身近な人たちを喜ばせたいっていう気持ちがすごく大きくて。祖父母がずっと朝ドラを見ていたので、朝ドラに出て、じいちゃんばあちゃん孝行をしたいなと思っていました。だから、出演が決まった時にはめちゃくちゃ喜んでくれました。

――佐野さんが思う「おむすび」の魅力を教えてください

めちゃくちゃテンポがよくて面白いし、いい意味でお話がシンプルで分かりやすいんです。家族の話とか、将来や夢のこととか、見ている方も自分に重ねて共感していただけることが多いんじゃないかなって思います。あと、僕自身が人間関係をすごく大切にしたいので、結の名前にもあるように、人と人のつながりを大事にするお話なのも、いいなと感じますね。

【プロフィール】
さの・はやと
1998年3月23日生まれ。愛知県出身。映画『ちはやふる−結び−』『小さな恋のうた』劇場版『 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』、ドラマ「ドラゴン桜」「真犯人フラグ」「トリリオンゲーム」「マイダイアリー」など。NHKでは、夜ドラ「おとなりに銀河」で主演を務める。今作で連続テレビ小説初出演。俳優として活躍する一方、ボーカルダンスユニット「M!LK」としても活動する。