古賀陽太は主人公・よねゆい(橋本環奈)の幼なじみで、高校のクラスメイト。明るく人懐っこい性格で、米田家の面々にも家族の一員のようにかわいがられています。父は糸島の漁師ですが、本人に継ぐ気はない様子。幼いころに結の祖父・永吉(松平健)と交わした約束を守って、結のことを見守り続けています。

そんな陽太を演じるのは、オーディションにより朝ドラ初出演を決めた菅生新樹さん。自身が演じる陽太というキャラクターの魅力や結への思いなどを聞きました。


僕の中で、こういう幼なじみがいたらいいなって思えるイメージを集めたのが陽太なんです

――朝ドラに出演することが目標だったそうですが、出演が決まった時はどんな心境でしたか?

マネージャーさんから今までにないくらい改まった感じで、「朝ドラに決まった」って聞いたんですけど、うれしいというより、なんか理解が追い付かないというか。え、俺? 本当? みたいな。そこから撮影に入るまで、ずっと「本当?」が続いてました、自分の中では(笑)。

正直、放送が始まるまで実感できてなかったかもしれないです。でも、やっぱり出るからには、僕が演じる古賀陽太っていうキャラクターを皆さんに愛してほしいし、皆さんの記憶に残る作品にしたいなって思っています。

――実際に撮影が始まってみて、いかがですか?

自分が朝ドラの世界に入っていると思うと、すごくうれしいですね。やっぱり朝ドラって、毎朝、家で流れているのが当たり前のものというか。母親をはじめ、家族で見ていて、確実に日常の一部だったんですよ。俳優という仕事を始めてから、いつか、皆さんの日常にそんなふうにお邪魔できるような作品に参加したいと思っていたので、うれしいです。

――陽太は結の幼なじみということですが、どんなキャラクターだと思って演じていますか?

僕の中で「こういう幼なじみがいたらいいな、うれしいな」って思えるイメージを集めたのが陽太です。彼はいい意味でも悪い意味でも空気を読めなかったりするんですけど、ちゃんと大事な時には側にいてくれるし、声をかけてくれる。結からしたら、もはや家族の一員みたいになっていると思うので、そういう身近さみたいなものを一番意識して演じています。なんかペットみたいな(笑)。

――確かに、陽太はもはや米田家の一員のような存在ですよね。

そうですね。陽太は何かといえば米田家に行っていて。他の人も米田家には行くと思うんですけど、その中で誰よりも陽太は一番距離が近いというか、そういう距離感には気を付けています。個人的には、陽太は丸っこい顔に短く刈った頭で、明るくていとおしいキャラなので、おむすびっていうタイトルに一番ぴったりなキャラなんじゃないかなって思ってるんです。

――結のことを「おむすび」と呼んでるのも、実は陽太だけですよね。

そうなんですよ! 実は陽太しか言ってないんです。小さい頃から結を「おむすび」って呼んでいて、高校生になっても変わらず、ずっと呼び続けていて。そういう童心みたいなものが、陽太にはあるんですよね。そこは、僕が一番陽太を愛してるところでもあります。


陽太にとって結は単なる幼なじみだけではない、特別な存在なんだと思います

――印象に残っているセリフはありますか?

ドラマのタイトルが「おむすび」ですけど、1話目で「おむすび」の説明をしたのが僕なんです。なんで結がおむすびって呼ばれているのか、その理由を話したセリフなんですが、なかなか朝ドラのタイトルを説明できる機会ってないじゃないですか。だから、印象に残っていますね。

――それは責任重大でしたね。

最初に僕がクラスメイトに説明するシーンで、監督にも「初めて(おむすびという単語が)出るところだから」ってプレッシャーをかけられて(笑)。しかも、クランクインの日がそのシーンの撮影だったんです。初日ですごく緊張していたし、現場にメイキングのカメラとかスチールのカメラとか、とにかくカメラがたくさんあって。一生忘れられないシーンになりました。

――結を演じている橋本環奈さんとは初共演だそうですが、幼なじみ役を演じる上で気を付けていることはありますか?

初対面で幼なじみの雰囲気を出すのは難しいなと思ったので、ちょっとでも時間が空いたら、僕からすぐに話しかけていました。特に改まって事前に相談していたわけじゃないですけど、お互いに会話をたくさんした方がいいと思っていたのかなと思います。

クランクインの時は緊張しすぎて、監督からも「もうちょっと明るく」って言われてしまって。だから、もっと橋本さんとコミュニケーションをとろうと、「昨日何食べた?」とか、いつも、たあいもない話をしていました。そうやって自然に話しているうちに、お互いの中で身近な存在になれたような気がします。

――子どもの頃の「結を守ってやれ」という永吉(松平健)との約束を、陽太は律儀に守り続けていますね。

永吉のじっちゃんに言われたからっていうのはあると思うんですけど、陽太としては、それだけでやってるわけじゃなくて。言われたから守ってやってるっていう感じにはしていますけど、実際は自分が結のことを気になっちゃうし、自分が結から目を離したくないって思ってるんじゃないでしょうか。

――四ツ木翔也(佐野勇斗)にたんを切るようなシーンもありましたが、陽太は結に特別な感情を抱いていたりするのでしょうか。

そうですね。それが恋愛感情なのかどうかはまだ分からないですけど、陽太にとって結は単なる幼なじみだけではない、特別な存在なんだと思います。結の前に翔也や風見先輩(松本怜生)が現れても、陽太的にはやっぱり自分が一番近い存在だって思っていて。

嫉妬っぽい行動をしちゃったりもするんですけど、陽太からしたら、急に現れた2人とは付き合いの長さも違うし、「俺の方が結のことをわかってる」っていう勝手な自信みたいなものがあるんだと思います。そういうところが、なんかかわいいんですよね、陽太って(笑)。


糸島の方とも撮影を通じて仲良くなって、本当の親戚みたいになりました

――糸島での撮影で印象に残っていることはありますか?

役柄としてはあまり接点がないのですが、プライベートではずっと風見先輩役の松本(怜生)と一緒に遊んでました。トゥクトゥク乗ったりして。撮影が終わると、毎日のように一緒にご飯食べて、ずっと一緒にいましたね。糸島での思い出っていうと、撮影よりも松本との時間の方があるくらい(笑)。

――糸島フェスティバルの撮影はいかがでしたか? 糸島の皆さんもエキストラとして撮影に参加されたと伺いました。

糸島フェスの時、陽太はイカを売ったりしてたんですけど、そのブースにいたエキストラの地元のおじさんが撮影の合間に実際にイカを焼いてくれて、食べていいよって。僕がバクバク食べるもんで、他の屋台をやっている方たちもいろんなものを持ってきてくださったんです。魚介類とか、たこ焼きとか、自分で育てた野菜とか。だから、僕らのブースだけで一個のお祭りみたいに賑やかになっちゃって(笑)。

何日か撮影があったんですけど、だんだん北村有起哉さんとかハギャレン(博多ギャル連合)のメンバーとかも集まってきて、みんなでわいわい食べてました。普通、シーンがない時は控え室みたいなところに戻るんですけど、僕は全然戻らずに、ずっと糸島の皆さんと話してましたね。

――本当に陽太みたいですね。

そうですね。確かに、最初は「陽太の役作りになるかも」っていう思いもあったんですけど、途中から役づくり関係なくなっちゃって(笑)。いつの間にか、自分にとって居心地がいい場所になっていました。エキストラとして参加してる糸島の方と仲良くなって、その方が自分のお子さんを現場に連れてきてくださったりして、だんだん本当の親戚みたいになっていって。

そういう糸島の明るいパワーみたいなものをすごく感じて、なんか本当に「陽太ってこういうやつなんかもな」とか、こんな自然の中で育ったらこうなるんだろうなっていうのをすごく感じました。

――ちなみに、ハギャレンのパラパラはご覧になりましたか?

あのシーンの撮影を見学しながら、僕も横でずっと一緒に踊ってました。ハギャレンのみんなは、僕らの知らないところでずっとパラパラを練習していたので、撮影が終わったら、すごくホッとした顔をしていて。それを見て、なんか僕もすごく感動しました。僕もやりきった感があったというか。ただ見てただけなんですけど(笑)。

――陽太として、これから注目してほしいポイントはありますか?

物語が進むにつれて、登場人物たちが悩んだり、いろんなことが起きるんですけど、そういう重いシーンでも、陽太が出てくるとクスッて笑っちゃったりするんですよね。ポイントポイントで、陽太のかわいらしさが効いてくると思うので、そこに注目してほしいです。陽太が出てくると、その場が明るくなるというか。

あと、「おむすび」は高校生の物語でもあるから、すごくフレッシュなのも魅力だと思うんです。結もハギャレンのみんなも翔也も陽太も、いい意味で落ち着いてないので、何が起きるかわからないところを楽しんでください!

【プロフィール】
すごう・あらき
1999年8月26日生まれ。大阪府出身。2022年にCMデビューし、俳優やモデルとしての活動を開始。同年、「初恋の悪魔」でドラマ初出演を果たす。ドラマ出演作に、「凋落ゲーム」「なれの果ての僕ら」「下剋上球児」「伝説の頭 翔」などがある。NHKでは、2024年に土曜ドラマ「パーセント」で小早川新太郎を演じた。今作で連続テレビ小説初出演となる。