ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、米田愛子役・麻生久美子さん!


――震災後の避難所で、幼いゆい(磯村アメリ)がおむすびをもらうシーンがありました。避難所のシーンの撮影はいかがでしたか?

本当につらいシーンだったんですけど、あそこで結がおむすびをもらうところから、この物語が生まれたという話も伺っていたので、すごく大切に演じました。

被災して食べる物もない中でいただいた、たった一つのおむすびを結とあゆみ(高松咲希)に分けて、2人が食べるのを見ているのですが……。実際に私は震災を経験したわけではないので、何て言ったらいいか難しいんですけど、おむすびを食べて「生きていく」ことや、命があるということ、いろんなことに思いをせたシーンだったと思っています。

実は、実際に被災されて小学校に避難した経験のある方が、おむすびを配る役を演じてくださっていたので、撮影中に当時のことを少し伺うことができました。

――結たちが住んでいた家も潰れてしまいます。そのセットもすごくリアルに再現されていました。

潰れてしまったおうちを私たちが見ているシーンなんですが、セットはその1シーンのためだけに建てて壊した街並みで。だからなのか、そのセットを見た時になんとも言えない感情になりました。

スタッフさんの中にも被災経験のある方がいらして、撮影の時に子ども時代の結を演じた(磯村)アメリちゃんたちに当時のことを説明されていました。実際にこんな感じで、すごく怖かったんだよって。

私も一緒に聞きながら、いろんな思いが押し寄せてきて。私は役者として伝える側だから、きちんとこの気持ちが伝わるようなお芝居をここでしないといけないなって、すごく身が引き締まりました。

――その震災での経験が、その後の米田家に大きな影響を与えますね。

子どもたちも震災のことや、つらかったことを私たちに言わないんですよね。家族でその話をしないまま過ごしていて、それでもやっぱり心に残っている。

真紀ちゃん(大島美優)のことで歩が変わってしまったり、みんな同じ傷というか、同じものを抱えて生きてきたっていうことが、家族の絆の一つにはなっていると感じていて。だから今は、家族で震災について話せる日が来たら、次の一歩を踏み出せるのかなと思います。