ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、米田結役・橋本環奈さん!
――結が翔也(佐野勇斗)に阪神・淡路大震災で被災した当時のことを語るシーンがありました。震災については事前に勉強されたのでしょうか。
最初の衣装合わせの時に、チーフ演出やスタッフの皆さんとたくさんお話しして、学ばせていただきました。当時の資料も、ネットなどに出ている写真を見るだけではなくて、実際にスタッフの皆さんが現地で取材されたお話を伺ったりしました。
阪神・淡路大震災は私が生まれる前の出来事なので、正直、ほとんど何も知らない状態だったのですが、想像を絶するような被害や避難所での生活について聞いて、言葉がありませんでした。
――震災を経験した人物を演じるにあたり、難しい面はありましたか?
結は震災当時、6歳。その女の子が高校生になって、どれくらい当時の状況を覚えているのか分からなくて、そこは演じる上ですごく難しいなと感じました。
だから、実際に6歳で被災された方にもお話を伺ったのですが、ドラマの結ちゃんと同じように、なんとなくみんなが悲しそうにしていたことは覚えているとか、避難所で友達と生活することが最初は新鮮で楽しいと思ってしまったというお話を聞いて、実際そうなんだろうな……と。
6歳の女の子がみんな、震災というものをしっかり深く考えていたかっていうと、やっぱりそうじゃないと思うんです。でも、だからといって、そういう記憶を軽んじるのは絶対にいけないことで、本当に丁寧に演じていかなければと思って、セリフ一つひとつが重くのしかかるような感覚がありました。
――翔也とのシーンで印象に残っているセリフはありますか?
「うち、小さかったけん全然覚えとらんで」っていうセリフがあるんですけど、細かくは覚えていなくても、その時の惨状や、住んでいた家が崩れてしまった風景は、写真のように忘れられない記憶として残っている部分もあるんですよね。
私自身は大きな震災にあった経験はありませんが、実際に当時、阪神・淡路大震災を経験された方や、能登の震災などで今もつらい思いをされている方が、ドラマを見て苦しい気持ちにならないようにしたいという気持ちがありつつも、嘘を描きたくないっていう気持ちもあって、そこですごく葛藤がありました。
言葉で表現するのは難しいんですけど、被災した方々の思いに寄り添うのはもちろん大事ですが、やはり前を向いて生きていかなくてはいけないっていう思いを抱いている方々に寄り添い、丁寧に繊細に演じようと思いました。