ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、米田聖人役・北村有起哉さんから!


――松平健さんが演じる父親の永吉と聖人は、何かといえばケンカばかりですね。

そうですね、相当仲悪いですよね。でも、昔はドラマでこういうシーンがたくさんあったなって思いました。ちゃぶ台をひっくり返して、すぐ取っ組み合いになる、みたいな。そういう懐かしさというか、温かい人情ものというか、古きよきホームドラマのエッセンスが結構入ってるんです。

――第12回のケンカシーンでも、だいぶ派手に暴れていらっしゃって……(笑)。

監督とも相談させてもらって、もうちょっとやらせてくださいってお願いしたんです。この程度じゃ、聖人さんも収まりがつかないんじゃないかと思って、少し暴れさせてもらいました。もちろん、いきなり健さんに座布団を投げるわけじゃなくて、「すいません、次は座布団投げさせていただきます」って断ってから投げてますから(笑)。

――ケンカのシーンではアドリブも多いと伺いました。

親子ゲンカが始まると、佳代さん(宮崎美子)と愛子さん(麻生久美子)が慣れた感じで別の部屋に逃げることがあるんですよ。それで、そっちの部屋でセリフのやりとりがあって。その間、急に僕らが静かになってもダメじゃないですか。だけど、アドリブも糸島の方言じゃないとまずいので、もう本当に小学生レベルの言い合いみたいな感じで続けています。でも、それがまた面白かったりするんですよね。

――聖人と永吉がケンカをして、愛子と佳代がそれをいなしてという関係性が、米田家のバランスをうまく保っています。

親子ゲンカってすごいコミュニケーションだと思うんです。米田家は家族間でのコミュニケーションがすごくちゃんとあるんですよね。

撮影中、「自分もこんなことを思うんだ……」って驚いたことがありました。健さんとケンカしながら、僕もすでに他界した父と、こうやって親子ゲンカをすればよかったなって、少しウエットな気分になっちゃって。

親子ゲンカってすごくすてきなことなんですよね。自分は全然親子ゲンカをしなかったなって、ちょっと後悔したというか。でも、そう思ってからは、親子ゲンカのシーンが本当に僕にとって大切なものになりました。

――聖人は永吉とぶつかってばかりですが、心の中では永吉のことをどう思っているんでしょうか。

人間の大きさとか、寛大さとか、圧倒的な説得力とか、この人には絶対にかなわないって認めているんです。でも、それだけに永吉さんの適当で身勝手なところとか、どうしても許せない部分もあるんだと思います。だから聖人は父親から離れたい、自分だけで生き抜いてやるっていう気持ちがあって、何でもいいから糸島を出たくて、理容師になったんですよね。

永吉さんから見たら、全然捉え方が違っていて、すごく大きく構えてくれているんですけど、息子の僕はずっとウジウジ、ネチネチしているんです。