「今君電話」年末の夜、カンニング竹山が電話で話を聞きます。
【放送予定】
1月28日(土) Eテレ 午後10:00~10:30


カンニング竹山さんが「どんなことでも話したいことがある人は電話をかけて」とSNSに電話番号を公開し、つながった人と電話で話す番組「今君電話」。誰かに話したい。でも、その誰かがいない――。胸の内にとどめおかれていた話に竹山さんが耳を傾ける。「ひきこもっていた同級生に10年ぶりに会えた」「今、人生で一番孤独で…」などなど、今回も思わぬ話が連続! 

この番組を担当するのは、「ねほりんぱほりん」の制作なども手がける山登宏史ディレクター。カンニング竹山さんのメッセージとともに、番組の誕生秘話を紹介する。

カンニング竹山さん メッセージ

「電話で人としゃべってるだけ。いろんな人の話をひとつひとつ聞いていくだけ。ただそれだけなんだけど、その一つひとつにドラマがあって、一人ひとりに人生があって、考え方がある。そうやっていろんな話に耳を傾けていると、人生にマニュアルなんてないんだなってことに気づかされます。こちらが生きるヒントをもらっているような気がしました」

 ――「今君電話」が生まれた経緯について教えてください。

山登 2つのきっかけがあります。
1つは、「ねほりんぱほりん」で児童相談所の職員を取材したとき、シビアな相談内容が児童相談所に数多くかかってくることを知り、これを記録する番組を制作することはとても意義があると感じていたんです。ただ、プライバシーの問題などを乗り越えるハードルが高くて……。そんなときに、カンニング竹山さんの顔が浮かんだんです。

もう1つは、そのカンニング竹山さんのネタです。
カンニング竹山さんとは、以前別番組でご一緒したときに仲良くなりまして、毎年単独ライブにも伺っています。そのライブで、「SNSに電話番号を載せてバズらせる」というネタをやられていたんです。電話番号を公開すると、本当にたくさんの電話がかかってくるんですよ。このネタから番組の着想を得て、こちらで電話を用意し、だれでもかけられるようにすれば、もっといろんな話が聞けると考えました。その後、竹山さんに相談したところ、「おもしろそうだね!」と賛同いただき、2021年の秋に第1弾の番組を放送しました。

――この番組を制作するうえで、大切にしていることはなんでしょうか?

実はこの番組を始めるにあたり、竹山さんと僕は、「日本電話相談学会」の副理事長(現在の理事長)から、全10回の電話相談の講義を受けているんです。その中で、僕たちが学んだのは、「答えを出すのが相談ではない」ということでした。相談されると、どうしてもそれに対する答えを出そうとしがちですが、そうではなく、まずは相手がどう考えているのかを整理し、受け止める。このスタンスがすごく大事だということを理解したんです。ですから、「答えは出せないけど、話はしっかり受け止める」ことを心がけて、皆さんのお話をお聞きしています。

そして、最初の収録を終えたとき、竹山さんも何か手ごたえを感じていたように思います。電話をかけた方が、「話を聞いてもらってありがとうございます」とよく言ってくださるんです。いや、むしろ「貴重な話を聞かせてくれてありがとう、だよね」とよく竹山さんとは話していますね。ありがたいことに、竹山さんからは「ライフワークにしていきたい」ともおっしゃっていただいて。

――「今君電話」という番組名がステキです。どんな思いが込められていますか?

電話がメインの番組ですから、番組名に「電話」は外せない。そして、「今」の時代と、未来を持つことができる「君」という言葉が大事な要素になるのではと考えました。“今の君、この時代を表す”番組になればと思い、「今君電話」としました。また、台湾の映画のように、漢字4文字のタイトルにしたいなとも。漢字が並んでいると、なんだかかわいいかなと思って(笑)。

電話って、いまやアナログなコミュニケーションツールという印象もありますが、メールやチャットよりも、リアルな感情が伝わる。それが一番分かりやすい瞬間が、電話がつながったときです。「わぁー、ほんとに竹山さんだ!」って、相手のテンションが上がっているのがすぐわかるんです。電話は、素の感情が出やすいんだなと感じています。

――これまでの放送で、印象に残るエピソードなどはありますか。

シングルマザーのお母さんが、「最近大人と話していないんです」と電話をかけてきてくれたことがあります。「5歳の子どもとしか話していないから、大人と話をしたかった。コミュケーションを取るのが苦手で、気軽に話せる相手がいない」と。そして、「子どものためにかわいい巾着袋を作ったんだけど、子どもの反応もいまいちで…」という話。
「お母さん、がんばっているね」と竹山さんが声をかけると、相手の方が少し涙ぐむという電話がすごく印象的でした。

ここで学んだことは、話すのが苦手な方の本音を、しっかりと受け止めること。シングルマザーが抱える問題をただ単に取材するだけでは、もしかしたら、「大人と話せないことに苦しんでいる」という声を拾い上げることができなかったかもしれません。ほかの番組や取材では出会えないかもしれない人と出会えるのがこの番組の魅力であり、可能性だと感じました。

――「今君電話」が目指しているものは何でしょうか?

2021年秋に放送開始して、今回で第5弾となります。このペースで10年積み上げていくと、放送に入らなかった人たちの話を含めて、約1000人の話を聞くことができます。これは、そのときの社会や時代を記録した、価値あるアーカイブのひとつになると思うんです。ですので、10年続けていくことを目指したいですね。もちろん10年とはいわず、20年30年と、竹山さんと一緒に、皆さんの話を聞いていけたらと思っています。

――最後に、今回の放送の見どころを教えてください!

昨年の12月25、28、30日の3日間、竹山さんに電話を受けていただきました。クリスマス、仕事納め、大みそか前日に、こんな過ごし方をしているんだ、こういった孤独を抱えていたのかと、それぞれの話がとても濃い内容となっています。

「今君電話」は、たまたまファミレスなどで、他のお客さんの話が気になって、思わず聞いてしまうことに似ているように思います。偶然耳にして、興味関心を持つことってありますよね。この放送でも、皆さんの心に残る話があると思います。ここでしか聞けない、匿名だからこそ話せる赤裸々な話に、ぜひ耳を傾けていただけたらうれしいですね。


誰かに伝えたい、けれど伝えきれなかった――。そんな話を、カンニング竹山さんと一緒に耳を傾けてみませんか。
▼番組ホームページ▼
https://www.nhk.jp/p/ts/24Q7X89G9W/