新・介護百人一首

病窓の
夜空の花火に
うなずきて
父が生を
終へたのは夏

秋田県小松紀子 70歳)

愛知県 匿名希望
愛知県 匿名希望
愛知県 野村彩花

詞書

実家は「大曲の花火」が有名な花火の町で、打ち上げ会場がすぐ近くでした。在宅死を望み、みごとに八十八年を生きました。

感想コメントをいただきました

堀口茉純

不思議です。まるでその場に立ち会っているかのような気分になります。お父様はきっと何度もご実家で花火をご覧になられてきたのでしょうね。そして、ご家族様とご一緒にご覧になられたこの日の花火は格別に美しかったことでしょう。満足げにうなずくお父様の目に映った美しい花火を私も見ている。読んだ人にそんな風に感じさせる力をもった、味わい深い歌です。大曲の花火、いつか拝見してみたいなぁ。

堀口茉純

東京都足立区生まれ。幼少期より時代劇に親しむ。小学4年生の時、司馬遼太郎の本に出会い、沖田総司に初恋。中・高生の頃の成績は歴史のみ5。明治大学在学中に文学座付属演劇研究所で演技の勉強を始め、卒業後、女優として舞台やテレビドラマに多数出演。一方2008年に江戸文化歴史検定一級を最年少で取得すると、「江戸に詳しすぎるタレント=お江戸ル(お江戸のアイドル?!)」として注目を集める。2011年には『TOKUGAWA15~徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本~』(草思社)で作家デビュー。また、YouTubeチャンネル『ほーりーとお江戸、いいね!』を開設し、歴史系ユーチューバーとしても活躍。歴史の面白さ、江戸の魅力、日本の伝統文化の素晴らしさを発信し続けている。レギュラー番組はNHKラジオ第一『DJ日本史』など。