2024年度後期の連続テレビ小説「おむすび」がいよいよスタートしました。
主人公の米田結は福岡県の糸島で、父・聖人(北村有起哉)、母・愛子(麻生久美子)、祖父・永吉(松平健)、祖母・佳代(宮崎美子)と暮らしています。伝説のギャルと言われた姉の歩(仲里依紗)は東京に行ったきりで音沙汰なし。「平穏無事に暮らすこと」が夢だった結ですが、高校に入学すると新たな友人やギャルたちと出会い、少しずつ変化していきます。
そんな結を演じるのは、朝ドラ初出演となる橋本環奈さん。今作のストーリーや米田結というキャラクターの魅力、さらに橋本さんが大好きだと語る米田家の撮影エピソードについても聞きました。
脚本家・根本ノンジさんの描く米田ファミリーが個性的で愛くるしくて大好き
――今作が初めての朝ドラ出演、さらに主人公を演じるということで、いつもと違った意識はありますか?
朝ドラの主人公を演じるのはとても光栄なことですし、最初の舞台となる糸島が自分の出身地である福岡ということもあって、すごくご縁を感じる作品です。でもあまり気負わず、いつものように楽しく演じたいなと思っています。
「おむすび」の現場には、最初から温かい雰囲気がすごくあるんですよね。とても明るい作品なので、現場もそういう雰囲気にしたくて。スタッフさんが、皆さん本当にほっこりしているので、そういう空気感は変わらずいられたらなって思っています。
――物語は、福岡県の糸島からスタートします。出身地での撮影はいかがですか?
福岡は高校卒業まで住んでいた大好きな町なので、天神とか、学生の時によく来ていた場所がロケ地になっていて、すごい懐かしくって。
それに、結は博多弁なので、演じやすくて楽しいですね。糸島では一面に広がる田園風景の中を自転車で爆走するシーンとか、すばらしい自然の中で撮影ができたので、スタジオで撮影している時も、そういう糸島の空気感を家族みんなでちゃんと体現できているんじゃないかなと思っています。
――最初に根本ノンジさんの脚本を読んだ時の感想を教えてください。
テンポ感がすごく面白いですよ。読んでいて、早く演じたくなりました。大好きなのは米田家のシーン。家族全員キャラが濃くて、特に(松平)健さんが演じる永吉さんがいいキャラなんですよ。ずっと大ボラを吹いてるんですけど、結と歩に対してはすごく温かくて、こんなおじいちゃんがいたら最高だなって。
そんな明るく楽観的なおじいちゃんに対して、(北村)有起哉さんが演じるお父さんは真面目すぎるくらい真面目。根本さんが、米田家の面々をそういう個性的だけど愛くるしいキャラクターとして描いてくださっているのが、すてきだなって思いますね。
糸島でのエピソードもすごく好きで、結の高校生らしいストーリーの合間に、家族愛であったり、お姉ちゃんの歩に対する思いが丁寧に描かれているので、演じていて迷うことがありません。結ちゃんの思っていることがスッと入ってくるので、とても演じやすいですね。
米田家の食卓のシーンではずっとおしゃべりしていて、すごく居心地のいい現場です
――ご自身が演じる結については、どういう人物だと思いますか?
結は、すごくまわりに気をつかえる子なんです。お父さんとおじいちゃんが喧嘩し始めたら、必ず間に入って止めたり。ちゃんと家族の要として、みんなに愛されている子なんだなと思っています。お父さんはちょっと門限に厳しすぎたりするんですけど、それを守る素直さもあって。
――ご自身と共通する部分や共感する部分はありますか?
結ちゃんは、歩の影響でギャルが大嫌い。歩のように家族に心配をかけまいとやりたいことを我慢したり、真面目な女の子を演じていたりするところがあるんです。私は割と自分が好きなことをやっている方だと思うので、そこは違うかなと思うんですけど。でも、結ちゃんの大切な人たちを傷つけたくないっていう気持ちはすごくわかる。そこは共感しながら演じています。
――濃いキャラクターばかりとのことですが、米田ファミリーでの撮影はいかがですか?
もうずっとみんなでしゃべってますね(笑)。撮影の合間に、(麻生)久美子さんと(北村)有起哉さんと一緒にストレッチしながらしゃべったり、なぜかスクワットしたり。家族の食卓のシーンがすごく多いんですけど、本当に居心地がいいんです。
米田家の食卓によく登場する「ピーマン味噌」っていうメニューがあるんですが、それがすごく美味しくて。全員、撮影が始まる前に「もっと(お皿に)載せて」ってスタッフさんにお願いして、カットがかかっても食べ続けています(笑)。
(松平)健さんがお気に入りのものばっかり食べていて、みんなにツッコまれたりすることも。ずっとみんな食卓から動かずに話していて、和気あいあいとしていますね。
自分の好きなことを貫く! ギャルは見た目じゃなくて心意気
――結はこの先、ギャルになっていくそうですが、橋本さん自身はギャルに対してどういうイメージをお持ちでしたか?
この作品に入るまでは、ヘアスタイルとかネイルとかメークとか、ギャルの「見た目」についてしか知らなかったんです。でもギャルを演じてみて思うのは、ギャルって「心意気」なんですよね。
ドラマの中で「他人の目は気にしない。自分が好きな事は貫け」っていう “ギャルの掟”が出てくるんですけど、今の時代ってSNSもあって、まわりの目を気にしないってなかなか難しいじゃないですか。だから、まわりの目を気にせず、自分の好きなことをとことん貫くギャル魂ってすごく大事なんです。
――今作では「食」も大きなテーマとなっています。どんなシーンが見どころですか?
私は元々食べることが大好きで、食べたい時に食べたいものを食べる派なので、結ちゃんがおむすびをパクッて食べたり、家族でご飯をモリモリ食べたりっていう、美味しくご飯を食べている姿をお見せできたらなと思っています。
今回、「おむすび」というタイトルだけあって、糸島の食材を使ったお料理がドラマの中でたくさん出てくるんですが、何を食べても本当に美味しくて。毎朝、美味しいご飯がテレビに映るっていうのはすごくいいことなんじゃないかなと思うんです。すき焼きのシーンの日には、見ている方にも「今日すき焼きにしよう」とか思ってもらえたら、本当にすてきだなって。
――結は、やがて栄養士を目指すことになるそうですね。
「おむすび」のヒロインをやらせていただくことになって、栄養士さんって自分の身近な場所にたくさんいらっしゃるんだなと初めて知りました。「給食を作る人」っていうイメージが強かったのですが、それ以外にも、病院などで食事のケアをしたりだとか、管理栄養士・栄養士の仕事って幅が広くて。食を支えてくださっている方が身近にたくさんいらっしゃるんですよ。
このドラマをきっかけに、今まで知らなかった栄養士という職業にフォーカスできるのもうれしいですし、私自身食べることが大好きだから、栄養面でもいい勉強になるなって思っています。
――今日から「おむすび」の放送がスタートしました。橋本さんが思う今作の魅力を教えてください。
「おむすび」というドラマは、タイトル通り、「結ぶ」ということもテーマになっています。やっぱり人との関わりや結びつきがないと、人生の彩りがなくなってしまうと思うんですが、家族や友達、そういう人と人との結びつきの中心に、いつも結ちゃんがいるんですよね。
自分のことよりも人を助けることを優先する、そんな結ちゃんにしか結べない人と人との繋がりを大事に演じていきたいと思っています。ストーリーとしては、日常にある小さな幸せを見つけられるような、毎朝明るい気持ちになれる作品だと思うので、皆さんにも楽しんでいただけたらと思います。
はしもと・かんな
1999年2月3日生まれ。福岡県出身。2011年、是枝裕和監督作『奇跡』で映画デビュー。'16年、映画『セーラー服と機関銃 −卒業−』では初主演を務め、第40回日本アカデミー賞「新人俳優賞」を受賞。主な出演作に、映画『キングダム』シリーズ、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』など。舞台『千と千尋の神隠し』では、'22年の初演で主演の千尋役を演じ、'24年のロンドン公演にも出演。NHKでは、'22年、'23年と2年連続で「NHK紅白歌合戦」の司会を務めた。