新・介護百人一首

介護職
感極まって
母国語に
日本のお婆ちゃん
びっくりします

岩手県ビスタ アールズン ネパール24歳)

詞書

介護で働いている時、食事配膳する時に利用者に母国語で伝えてしまい、お婆ちゃんをびっくりさせてしまった。

感想コメントをいただきました

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)

母国語は、お母さんの言葉。だからこそ、自分の生命の「安全基地」になってくれています。ふだんは忘れていても、なにかの時に思わず口をついて飛び出してしまう。それは、自分の命が、その根っこのある場所とつながる、そんなほっとする瞬間。自分自身の姿を「鏡」で再確認するとき。考えてみれば、すべての仕事、人との出会いは、自分自身を知るひとつの道なのでしょう。そこで人は自分自身に出会うのです。

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)

1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究。文芸評論、美術評論などにも取り組む。NHKでは、〈プロフェッショナル 仕事の流儀〉キャスターほか、多くの番組に出演。