新・介護百人一首

紫陽花あじさい
でつつ思ふ
来年は
此の花の名を
問ふ吾かとも

兵庫県徳島季美子 89歳)

愛知県 匿名希望
愛知県 中村ミチ子

詞書

施設に飾られる四季折々の花に感慨を覚えられるのはいつまでか?物事に関心を持つのが大切だと、歩行器に頼りながら各イベントに参加し、スマホでは、写真添付等に苦戦しつつ、麻雀やゲームを楽しんでいます。

感想コメントをいただきました

恩蔵絢子(おんぞう・あやこ)

来年は今と同じでいられるだろうかと、変わらずにめぐる自然を見て、ふと不安になる。自分の時間を周りの自然で確認する、その心の動かし方が素敵だ。しかし、好奇心を持ち、新しいことに積極的に挑戦することは、何より脳の健康を維持させる。だからきっと来年もお元気でいてくださるだろうと想像している。またもし「紫陽花」という名前が思い出せなくなったとしても、きっと紫陽花を「きれいだなあ」と感じる気持ちは変わらないだろうと思う。

恩蔵絢子(おんぞう・あやこ)

脳科学者。2007年東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了(学術博士)。専門は自意識と感情。2015年に同居の母親がアルツハイマー型認知症と診断される。母親の「その人らしさ」は認知症によって本当に変わってしまうのだろうか?という疑問を持ち、生活の中で認知症を脳科学者として分析、2018年に『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社)を出版。認知症になっても変わらない「その人」があると結論づける。NHK「クローズアップ現代+」、NHKエデュケーショナル「ハートネットTV」に出演。2021年には、母親に限らず、認知症についてのさまざまな「なぜ?」に対して脳科学的に解説する『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか』(中央法規。ソーシャルワーカー・永島徹との共著)を出版。現在、金城学院大学、早稲田大学、日本女子大学非常勤講師。