岩手県釜石市で開催された「であうアート展in釜石」。(イベント詳細はこちら
その開催記念スペシャルイベントとして、「ステージパフォーマンス&トークセッション」が、6月25日(日)に釜石市民ホールで行われた。

学生と釜石市民がさまざまな形で交流を深め、「であい、つながった」1日の様子を、登壇者のインタビューを交えて紹介しよう。


学生のパフォーマンスに笑顔らんまん!

流通経済大学の上野裕一学長、龍崎孝副学長、野田武則釜石市長のあいさつの後、早速ステージパフォーマンスがスタート!
最初に登場したのは、流通経済大学チアリーディング部 GLITTERSと付属柏高校のチアリーディング部。息の合ったアクロバティックな演技やポンポンで「カマイシ」の文字を作るパフォーマンスに、会場は大いに盛りあがる。

続いては、男女ラグビー部が登壇。前日に行われた「ラグビー部と釜石市民交流会」(詳細はこちら)の様子を振り返ると共に、トンガ出身のラグビー部員、ロケティ・ティシレリ選手と釜石のエピソードが紹介される。

ニュージーランドの大学入学を突如破棄されたティシレリ選手に、スパイクや練習用のボールをいち早くプレゼントしたのが、釜石の市民たち。ティシレリ選手はじめ、ラグビー部員が感謝の思いと今後の決意を伝えると、会場は温かい拍手に包まれた。

その後も、流経大アートディレクターのヴィクトル・ニジェリスコイ先生の「身体表現」、来場者と一緒に体を動かす、流経大ダンス部による創作ダンス、吹奏楽部とNHK交響楽団金管五重奏とのコラボなど、それぞれが充実したパフォーマンスを披露。

午前の部のラストは、釜石の市民吹奏楽団も加わって演奏した東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」。来場者も振り付けに参加して、会場がひとつに。


午後は、ニュースキャスターで流経大客員教授の膳場貴子さん、釜石ラグビー応援団副団長の浜登寿雄さん、「いのちをつなぐ未来館」職員・川崎杏樹さん、流経大・龍崎孝副学長によるトークセッションが行われた。
テーマは「つながろう!釜石・流通経済大学・新松戸!」。 

釜石と流経大・新松戸キャンパスを中継でつなぎ、交流。釜石、新松戸、そして流経大の魅力をそれぞれ紹介した。
中学生のときに被災し、現在、語り部としてその経験を後世に伝える川崎さんは、地域の人々の固い絆が釜石の大きな魅力であると話す。浜登さんは、震災復興に携わったラガーマンたちの釜石への熱い思いなど、ラグビーを通して釜石の魅力を語った(浜登さんのインタビューはこちら)。

当日、新松戸キャンパスでは学園祭の真っ最中。
その熱気は、会場にも届くほど! まさにつながりが生まれた瞬間となった。

そして、午後の部のラストを飾ったのは、NHK交響楽団金管五重奏による演奏。
ヨーロッパやアメリカ、そして日本にまつわる名曲を、ソロやメドレーで奏でる。その美しい音色に会場は拍手喝采。その拍手に応え、アンコールでは、連続テレビ小説「あまちゃん」のオープニングテーマを演奏。

楽しい時間はあっという間にすぎ――、惜しまれながらスペシャルイベントは幕を閉じた。


イベント終了後、登壇者の野田武則釜石市長、膳場貴子さん、龍崎孝副学長に、率直な思いをそれぞれ聞いた。

▼野田武則 釜石市長

「今回のイベントで、流通経済大学と釜石市のつながりを深めることができ、大変うれしく思います。ラグビー部の皆さんとの交流やステージイベントでのパフォーマンスから、私自身大きなパワーをいただきました。このご縁を大切に、今後も良い連携ができたらと思います。

そして今回参加してくれた学生の皆さんにも、釜石の力、レガシーを感じていただけていたら、うれしく思います。さまざまな方との出会いを楽しむ風土が、釜石にはあります。われわれは、いつでもウェルカム。今後も流経大の皆さんをはじめ、多くの方々と、互いに良い刺激を与えられるような交流を行っていきたいですね」

▼膳場貴子さん

「学生がさまざまな地域に出向くことは、彼らの世界を広げるきっかけになる大切なことだと思います。地域にとっても、若い方との交流はとても大きなこと。今回のようなイベントを機に、地域と学生との交流が続いていけば、たとえ人口が減ったとしても、その地域と関わってくれる人は増えていくはず。ですから、ぜひこのような取り組みを大学には続けてほしいです。

客員教授の立場としては、やはり学生たちにはいろんな場所に足を運んでほしいと思います。情報が簡単に手に入れられる社会ではありますが、人と対面したり、その場所に行かないと感じられないことがたくさんあります。さまざまな人との出会いが、学びになり、成長につながるので、積極的に交流を行ってほしいと思います」

▼龍崎孝 副学長

「イベントが進むにつれ、学生たちの表情が輝いていって。釜石の方と交流を深めていくなかで、それぞれ感じるものがあったのだと思います。短期間ですが、彼らの成長をすごく実感したイベントでした。また、市民の方が『来てくれてありがとう』と声をかけてくださいました。学生の熱い思いがパフォーマンスにのって、釜石の方にも伝わったこと、本当にうれしく思います。

イベントは終わりましたが、ここからが新たなはじまりです。
学生だけでなく、松戸市民の方が釜石に足を運んだり、釜石の方が流通経済大学のキャンパスに来てくださるようなことが生まれるかもしれません。そういった交流が実現できたら、本当にすばらしいと思います。それは、ひとつの『コモンズ(共有の空間)』となっていますから。今回のイベントは、その芽が出たように思います。地域社会における『コモンズ』を目指し、今後も多くの方々と連携を深めていきます」


学生と地域がであい、つながることが、共生社会への第一歩となる——。
この釜石の地から、交流の輪が広がっていくことを感じるイベントとなった。