新・介護百人一首

食べながら
白寿の父が
泣いている
子どものような
くしゃくしゃ顔で

宮崎県黒木直行 78歳)

兵庫県 新谷成子

詞書

これは思い出の短歌です。父の晩年をよく短歌に詠んでいました。日々の行動はユーモラスでさえありましたが、表情はなくなっていきました。その父が突然泣いたのです。笑うに笑えませんでした。

感想コメントをいただきました

浜内千波(はまうち・ちなみ)

自身の老いを一番に感じながらも楽しく、元気に生きていらしたであろうお父様。心の中で我慢をしてきた不安や不自由を抱えきれなくなり、ふとほっとする食卓で泣いてしまったのでしょうか。明るく慰める事さえもできない悲しさが伝わってきます。

浜内千波(はまうち・ちなみ)

昭和30年生まれ。徳島県海陽町出身。大学卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。その後ファミリークッキングスクールを開校。雑誌や書籍をはじめ、テレビ、ラジオ、講演会、料理イベントで活躍。食材の味を生かした料理、野菜料理は特に定評がある。