新・介護百人一首

お箸がね
持てなくなったの
てづかみの
冷やし中華が
美味しかったわ

千葉県小川藤代 57歳)

東京都 ペンネーム ぱんだ

詞書

手が利かなくなった母は、好物の冷やし中華が出た時に諦めかけていたら、隣の席の方が、「手で食べちゃいなさい」と言ってくださったようで、「思い切って手づかみで食べたらとっても美味しかった」とうれしそうに話してくれました。

感想コメントをいただきました

浜内千波(はまうち・ちなみ)

自分の老いを感じているときに、お隣さんがかけてくれた優しさがとても温かい。お母さまの言葉のような表現は、食欲はしっかりとあって、食事のおいしさも十分まだまだ分かる!ケセラセラだよと言わんばかりに、子供に悲しませないようにするお母さまの気配りまで伝わります。

浜内千波(はまうち・ちなみ)

昭和30年生まれ。徳島県海陽町出身。大学卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。その後ファミリークッキングスクールを開校。雑誌や書籍をはじめ、テレビ、ラジオ、講演会、料理イベントで活躍。食材の味を生かした料理、野菜料理は特に定評がある。