○MC:田村淳
○ゲスト:LiLiCo、中村嶺亜(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)、中嶋涼子

○ナレーター:水瀬いのり

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2018年に宝塚歌劇団を退団するまで、クセの強いおじさんを中心に演じて、名バイプレイヤーとして活躍したてんみちるさん。鍼灸師として働き、15年以上も宝塚ファンだという馬場寛之さん。10年来の友達だったという2人は、なんと交際0日で婚約! 2人は、どうしてカップルに?

こちらは2人の「なれそめ」を語るのに欠かせない、「なれそメモ」! 


▶出会い>>アウトオブ眼中/記憶にない

2006 年に宝塚歌劇団へ92期生として入団した天真みちるさんは、宙組、花組で男役として活躍。特に“酔っぱらいのおじさん”や“腹黒いおじさん”といった、おじさん役を極めてきた。鍼灸師・馬場寛之さんの妹の友人が、みちるさんと同期のタカラジェンヌだったという縁で、みちるさんと寛之さんは出会うことになる。だが、大の宝塚ファンの寛之さんが熱烈に応援していたのは、娘役のタカラジェンヌたちだった。

みちる「『ひろ君を紹介するから、みんなで友達になろうよ』という、こじんまりとした会を開いてもらって、そこで出会ったんですけれど、ひろ君側の元々のリクエストというのが『娘役さんを連れてきてください』って。もう最初から『私のことは見てないですよね。アウトオブ眼中ですよね、すみません』みたいな感じでした

田村「第一印象はどうだったんですか?」
みちる「本当に、そんなに目も合わせてない気がするんですよね。まず、こっちを向いてくれなかったので」
寛之「話を振ったりだとか、したとは思いますけれど……」
田村「覚えてない?」
寛之「覚えてないです」
中村「めっちゃ正直!」
LiLiCo「その段階で興味がないんだ。『どうですか?』『はぁ?』みたいな(笑)」
全員 (笑)

田村「みちるさんは宝塚を退団した1年後に、一軒家を購入されたそうですね」
みちる「卒業してから結婚される方や、ファンの方からお見合いの話がきたりする方もいたので、私もひと声くらいはかかるんじゃないかと期待していたんですけれど、本当になにもなくて。両親は『結婚しろ、結婚しろ』と言っている。で、今後も一人で生きていくために一軒家を買って、『私はこの家を守るために生きていくから、もう放っておいてください』と(笑)」
田村「寛之さんは、結婚についてどう考えていたんですか?」

寛之「僕は20歳くらいから、明日にでも結婚したいというぐらい結婚願望があって、ただ相手がいないというだけだったんです
田村「常に思っていたんだ! そういう機会があれば結婚したい、と」
寛之「あわよくば、はい」
田村「でも、2人の思いがここでは全く……」
中嶋「『アウトオブ眼中』ですもんね。いつから『インオブ』になったんでしょうね?」


▶接近>>私を好きじゃないから/誰とでもいいから

最初に出会ってから10年の間に、みんなで会う機会を何度か持っていた、みちるさんと寛之さん。宝塚歌劇団退団後のある日、みちるさんは、眼科医である寛之さんの父親から依頼を受け、父親が開催した医師会の会合で歌を披露することになる。

みちる「友達でいる10年間は、(寛之さんの)お父様お母様も私のことをすごく応援してくれていて、『歌いに来ませんか?』とオファーをいただいたんですよ」
寛之「それで前の日に、うちの父と母とみちるさんと4人で食事をしたんです」
みちる「お父様とお母様に『みちるさんは最近どう?』って言われたので、『もう家も買って、一人でたくましく生きていこうと思っています』と話したんです。そのあと、お母様が『それもカッコいいけど、晩年寂しいんじゃない?』みたいな感じで言い出して。それで、『うちのひろ君と結婚しなよ!』と」
田村「急に!?」
中村「すごいアシストが!」
田村「ものすごい角度からパスが飛んできましたね」
みちる「寝耳に水ですよね! お父様も『俺もずっとそう思ってた』って」
田村「ああ、援護射撃が。そのときに寛之さんはどう感じたんですか?」
寛之『あ、結婚できるかも』と思ってしまいました。結婚そのものが……」
田村「そうか、ずっと結婚願望が強い人だもんね。お父さんお母さんの言葉で、『みちるさんだって、結婚相手の対象じゃないか』って気づけた、と」
寛之「そうですね。それまで誰とでもいいから結婚したいという、漠然とした思いがあったんですけれど」
田村「なるほど。寛之さんのことがだんだんわかってきましたよ。オブラートに全然包まないですね(笑)
LiLiCo「けっこう周りが傷つくんだけどね。誰でもいいから結婚したかったですって、例えば私が言われたら『えー!?』ってなるもの」

田村「みちるさんはみちるさんで、そう言われても急には考えられないでしょ?」
みちる「もう反射的に、『いや、ないっすわ』みたいな感じで言っちゃったんですよ。お父様とお母様の目の前で。でも、1日ずっと考えたときに『あ、でも、その手があったのか』という感じになって」

田村「そんな寛之さんとの結婚を考えた理由が、『友達として何でも言える』『男としてカッコつけない』『私を好きじゃない』の3つだったそうですね」
中村「私を好きじゃない?」
中嶋「えっ、これで付き合うんですか? 私を好きじゃない人と?」
田村「『友達として何でも言える』というのは?」
みちる「宝塚にいたときも上級生の方にどういうふうに伝えるのかということをすごく考えてきた中で、ひろ君には、気づいたらポンって言えるんですよね」
LiLiCo「10年間にメールのやり取りをしていても、そういうのをどこかで感じていたんじゃない? オープンでいられるという」
みちる気軽に“既読スルー”できる(笑)。読んだことだけ伝えればOK、みたいな」
田村「あー、わかるわ」
中嶋「背伸びしないでいいって、楽ですもんね。心地いいというか」

田村「『男としてカッコつけない』というのは、どういう部分を見て?」
みちる「宝塚に15年いて、ずっと男役としてのカッコよさというものを研究してきたんですよ。外で男の方と会ったときに、急にカッコをつけだす人とかいるんです。(ポーズをとりながら)『宝塚だと、こういう感じのでしょ?』とか。『そんな付け焼刃のカッコよさを見せるんじゃないよ!』って思っちゃうんですよね(笑)。それで言うと、ひろ君は全くカッコをつけないので」
田村「確かにね。ここに座っていても、ほとんど動いていないもの」
中嶋「静止画みたいに(笑)」
中村「『私を好きじゃない』っていうのは、振り向かせたいとかではない、ということですか?」
みちる「私がひねくれているのか、『お前しかいないんだよ』みたいに言われると、嫌いになられたらイヤだなと、その人の顔色をうかがって生きていくようになっちゃうんですよね」

田村「なるほど」
みちる「ひろ君は元々好きという感情はないのがはっきりしていて、でも優しいときには優しいし、ずっと一緒にいてくれる感じがしたので、私にとっては、そのほうが絆として深いんじゃないかと思えたんです」
田村「寛之さんとしてはどうなの? 『私を好きじゃない』と女性から言われても動じてないし、『そういうことじゃなくて』とか説明しようともしないよね」
寛之「これを見て……、『あ、僕だな』と思いました(笑)」


▶告白>>結婚式に出席できるよ/友達のまま…

寛之さんの両親から結婚をプッシュされた日の翌日のこと。寛之さんと生きていくことも“あり”だと考え始めていたみちるさんは、彼と一緒に帰る新幹線の中で、みちるさんと宝塚歌劇団で同期だった桃花ひなさんから、ある連絡を受ける。それは「結婚します」という内容で……。

みちる「その桃ちゃんが、ひろ君のいちばん推してた娘役で」
田村「娘役を追っかけていた人だからね」
みちる「で、『桃ちゃん、結婚するんだって』と言ったら、『えっ、嘘でしょ?』って、こんなに何も動じない人なのに、急に『くそぉ!』みたいな感じになって……。めっちゃ落ち込んでるやん、と思いつつも、ちょっと待てよ、と。私は同期だから、桃ちゃんの結婚式には出られる。そのときまでに私たちも結婚していたら、親族として参加できるかも、って思ったんですよ。そういうほうが、この人は食いつく。なので『ねぇ、私たちが結婚したら、桃ちゃんの結婚式に行けるよ』『あの桃ちゃんの花嫁姿が見られるよ』と言ったんです。そうしたら、急に『その手があるのか!』みたいな感じになって」

中村「何を説得されているんですか(笑)」
みちる「新幹線の中で、急に『ちょっと考えさせてください』と言われて、その後は目的地に着くまで、2人とも何もしゃべらずに」
田村「いろいろ考えていたんですか? 寛之さんは」
寛之「話を聞いて、みちるさんと結婚できるなら、みちるさんと結婚したい、と思いました」
田村「それは(桃花さんの)結婚式に出られるんだったら、ということ?」
寛之「……それはなしでも」
田村「本当?」
みちる「絶対違うと思う(笑)」
中村「気になったんですけど、2人で無言の新幹線の中で、どちらの花嫁姿を想像していたんですか?」
寛之「え……」
LiLiCo「そこ、ためちゃダメ(笑)」
寛之あの、結婚式、桃花さんだけじゃなくて、そのほかの同期の方たちとお会いできるということは、けっこう大きなニンジンでした
全員 (笑)
中嶋「すごいですね。『結婚式に出席できるよ』っていうプロポーズがあるんですね」

みちる「それこそ本当に何でも言い合える友達だったというのがいちばん大きくて、プレゼンじゃないんですけど、私と結婚したときのメリットというか、サブスクとして」
田村「宝塚のサブスク(笑)」
みちる「『同期がときどき家に来ますよ』『そのときに一緒に食卓を囲めますよ』みたいにプレゼンできるっていうのは、ほかの人には言えないことを、ひろ君だから言えたというのは、大きかったですね

田村「その新幹線での提案を受けて、どうなっていくんですか?」
みちる「『1週間、冷却期間をください』と言われて」
寛之「今のままだと、みちるさんからのアプローチばっかりじゃないですか。ちゃんとした言葉は男から言わなきゃいけない、というのが自分の中にあったので、『1週間、冷却期間を置きましょう』という口実で、後日お会いしたときに、僕のほうから言いました」
みちる「ひろ君から『結婚を前提に』みたいな感じで言われて。で、私も『ありがとう』とかじゃなくて、『うん、よろしく!』って握手して。その後、ひろ君のお父様に電話して『というわけで、婚約しました!』と」
田村「婚約!? お付き合いじゃなくて?」
みちる「はい。もう婚約でいっか!みたいな
中村「手をつないだり、チューがない段階で婚約の握手をしたってことですか?」
寛之「確かに、そうですね」
田村「不思議な関係だなぁ。寛之さんは楽なんですか? みちるさんといると」
寛之「楽ですね、一緒にいると。でも、一緒にいて楽しいということよりも、いないときに寂しいって思えるほうが僕は楽ですね
田村「急にすてきなことを(笑)」
寛之「みちるさんが出張で1週間ほど家を留守にするときがあるんですけれど、きょうは自分の好きなものが食べられると思って買い物に行っても、ふだんみちるさんのためにしか買わない食材を手に取ることがあるんですよ。そういうときに『あ、いないんだった』と思って棚に戻すとか」
中村「何か、曲が作れそうですね」


▶結婚>>トキメキはないけど…/50年間あなたを笑顔に

婚約の4か月後、2人は結婚。寛之さんの誕生日に婚姻届けを提出した。みちるさんは独身時代に購入した家を手放し、新居を購入。マッサージの資格も持つ寛之さんは、休日には、みちるさんの専属に。夫婦になった2人は、何でも言い合える関係を築いている。

田村「みちるさん、結婚していかがですか?」
みちる「『愛しているよ』と言って結婚したわけじゃないのに、本当に優しくって。その優しさがずっと続いている。私には、その優しさが、『愛している』というアプローチよりもずっと、日に日に染み込んでいって。何かときめいたことは本当にないんですけれど、いとおしいなって思えるようになりました
田村「いつの間にか、世界でいちばん大切な人になったんですね。毎日の生活の中で」
寛之「心の中で、やっぱり僕と結婚してありがとうという気持ちはあるので、できることはしてあげようと思っています。うちの祖父母が10何年か前に金婚式を挙げまして、それを見たときに、すごくすてきだなと思いました。金婚式って、お互いのいい関係を50年間積み重ねていく努力が必要じゃないですか。50年後、さらにその先がゴールだと思っているので、今のこのいい感じの関係を50年間積み重ねていきたいと思います

LiLiCo「考え方が、ほんと優しい!」


▶▶2人にとって“超多様性”とは?

みちる「人の顔色を見て自分が息苦しくなっていくんじゃなくて、自分自身が楽に生きられること、という感じがします」

寛之「やっぱり、その人その人を笑顔にすることでしょうね」


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