◆主人公・もも役 伊藤沙莉さん
——「ももさんと7人のパパゲーノ」に出演が決まった際の、率直な感想を教えてください。
やりがいのあることだなと思いましたし、今、届けたいなと思うこと、伝わるといいなと思うことが作品を通してできるのは俳優冥利に尽きることだと思いました。
——脚本の加藤拓也さん作品にご出演されるのは初めてですが、脚本の印象を教えてください。
一見淡白そうに見える言葉の中にあらゆる感情や人間味を感じさせるセリフを書く方だなと思っていて、以前からいつかご一緒できたらいいなぁと思っていました。
——主人公・もも役を演じるうえで工夫された点、難しかった点など教えてください。
ふだん気持ちや状態をどこか作って生きているようなモヤモヤとした疲れみたいなものが現れたらいいなと思いあえて作り込むようなことはしませんでした。自分の中ではももを作らないことが誠意だと思い、務めました。
——本作では7人の「パパゲーノ」たち出会い、彼らとの共演シーンが多いですが、撮影中のエピソードや、印象深い出来事などはありましたか。
共演者の皆様は1人残らずとても個性も魅力もあふれた方々なので、短くも色濃い日々でした。中でもやはり浅野和之さんがあるシーンでカットがかかるまで動物のモノマネをしていたのには驚きと共に勉強になりましたし、もはや感動しました。そして役を忘れるほど笑いました。
——ご覧いただく視聴者の方々にメッセージをお願いいたします。
この作品が発表になった時のコメントに全てを込めました。押し付けるのではなく寄り添う作品になったんじゃないかと思います。私自身、みんなそうだと言われることに何故か怯えていたところがありました。きっとそれは弱い自分に対する否定の言葉に聞こえていたからだと思います。
ですがこの作品を通してみんなそうだ。だからいいんだよ。大丈夫だよ。と伝えられたらいいなと思います。暗くない、不安にならない、むしろ共感や自身の肯定のなかで穏やかに観ていただけたらうれしいです。
今その場に立っているのがやっとだったり 立っていられることがむしろきつかったり逃げ出したくなる、消えてしまいたくなる瞬間はあります。
きっと誰にでも大小問わずあると思います。
そう言う時に背中を押したりとか、喝を入れたりとか
そういうことじゃなく、ただ寄り添えたら、少しでも、1人じゃないって思えたら、少しは、本当にほんの少しは、楽になれるんじゃないか。なってほしい。
そう言う気持ちがありながら やり方がわからない無力さや不甲斐なさから また同じループに陥る。
そんな時、巡り会えた作品だと思いました。
ふっと差し込まれた時、差し込まれそうな時、この作品を観て元気とかそういうのはまず置いといて
なんとなくでいいから人生に対して続けてみようとか 楽しいのかもしれない、気になる、とか
そう言う気持ちが生まれることを祈りつつ 真摯に向き合い、挑戦したいと思います。
1人でも多くの方々に届くことを願っています。
【放送予定】2022年8月20日(土)NHK総合 午後11:00〜11:59
【作】加藤拓也【音楽】田中文久
【出演】伊藤沙莉 染谷将太 山崎紘菜 中島セナ 橋本淳 野間口徹 平原テツ 池谷のぶえ 堀内敬子 浅野和之ほか
【制作統括】渡辺由裕 尾崎裕和【プロデューサー】倉崎憲【演出】後藤怜亜