ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、柳井嵩役の北村匠海さんから、第63回の振り返りをご紹介!

——空襲で焼け野原となった高知の町で、嵩がのぶ(今田美桜)に「逆転しない正義」を語るシーンに、どんな思いを込めましたか?
演出を担当した野口(雄大)監督ともご相談させていただきましたが、戦争を経て、ここで嵩がのぶの一歩前に立たなければ、この先ものぶと嵩は単なる幼なじみのままではないかと思いました。このタイミングで少しでも達観というところに至らないと、のぶは嵩に好意を抱くことができないのではないか、と。
やなせたかしさんって、物事に対してすごく達観した考えを持っていらっしゃって、だからこそ温かい言葉や絵が生まれたのだと僕は思っています。だから、焼け野原でのシーンでは、「のぶの一歩前に出て、背中を見せてあげること」を意識しました。次郎(中島歩)さんをトレースするわけじゃないですけど……。
——その場面では、好きだったのぶへの気持ちは封印していたのでしょうか?
もう自分はのぶに気持ちを伝えるべきではないな、というところに落ち着いています。次郎さんや千尋(中沢元紀)という、のぶを思っていた人たちを差し置いて、生き残った自分が幸せになるべきではない、という感情に至っていて。現時点での嵩は、のぶが幸せになることをひたすら願っている人物ですね。
