ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、柳井嵩役の北村匠海さんから、第41回の振り返りをご紹介!


——寛(竹野内豊)が最期に遺した「最後まで描き上げんと、ハンパでもんて(戻って)きたりしよったら殴っちゃる」という言葉を、千代子(戸田菜穂)から聞かされました。

死に目に会えなかったのは、きつかったです……。それでも、寛さんと嵩の心が通じ合っていたと知って、ある意味、ほっとしました。心のどこかに「もしかしたら、もう二度と会えないかもしれない」という思いもありつつ、でも卒業制作が中途半端な状態では帰れないということを、寛さんも理解してくれていたわけなので。

——竹野内さんとは何かお話しされましたか?

去年の暮れに「今年の柳井家パートの撮影は、これで終わりですね」と話していたとき、竹野内さんが「もしかしたら、もう会わないかもしれないね」とおっしゃったんです。その瞬間に「ああ、そうか」と、大きな喪失感を味わいました。いつも現場で楽しく趣味の話をしていた身近な方で、それがずっと続く気がしていたのに、もうできなくなるんだと思うと、何とも言えない気持ちになって……。「竹野内さんと、もう『あんぱん』の現場では会えない」と……。

そこで現実味が湧いて、「あ、この感情かも」と感じました。もちろん嵩が感じた喪失感と役者としての別れでは気持ちの大小があると思いますが、そのときの感情を大事にしながらあのシーンは演じました。