ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、辛島健太郎役の高橋文哉さんから、第47回の振り返りをご紹介!


——健太郎に赤紙が届いたことを嵩(北村匠海)に告げる場面では、どんな気持ちでしたか?

カレーを食べながら「きょうで最後っちゃけん」と語るところでは、言葉が詰まる瞬間がありました。おそらく視聴者の皆さんが初めて見る健太郎の姿だったと思います。この“弱さ”を表現するために、監督さんともいろいろ相談させてもらいました。

赤紙が来たことをただ伝えればいいだけではないんです。これまで培ってきた嵩との関係性があるので、健太郎としては悲しいだけではなく寂しくもあって、「赤紙」という言葉を口にすることがすごく苦しかったです。2人でご飯を食べながら仕事の話をするという、いつもの日常のなかで「いつ言おう、どう言おう」と考えていて……。健太郎がうつむいた感じを見せることは初めてで、この先の彼の人生でも、記憶に残る日、記憶に残るシチュエーションになっただろうと思います。

——伝えたくないという気持ちもあったのでしょうか。

健太郎の人となりとしては、言わないで去ることはできなかったんですよね。それに「もう会えないね」という気持ちだけで言葉を発しているわけでもないんです。「また会いたいな」という思いも交錯する、“カレーを食べながらの赤紙”だったと思います。演じているときは、当然寂しいんですけど、そこを底抜けの明るさで何とか逃げ切ったな、という感じもしました。