小学校5年生の子どもたちに聞きました。みんなにとってメディアってどういうもの?
「メディアは、ないと困る」
「タブレットで写真を撮ってLINEで家族に送る」
「インターネットで調べる」
「YouTubeを見てる!」
今の子どもたちにとってメディアやSNSは、日常生活になくてはならないものみたい。

2021年度にはじまり、これまで全国400以上のクラス、1万人以上の小学生(5・6年生対象)が参加している、「つながる!NHKメディア・リテラシー教室」。
「画像や映像のねらいを読み解こう!」 をテーマに、普段何気なく見ている画像や映像について、その意味や、送り手の意図などを考えます。

“アップ”と“ルーズ”はそれぞれどんな意味がある?
編集によって印象が変わる?
画像加工はどんなとき、どこまでやっていいの?
など答えのない課題に、進行役のNHKアナウンサーと一緒に楽しみながら取り組む、体験型の教室です。ネット配信を使って、全国4つの学校とつながっていろいろな意見が聞けるのも特徴です。


参加してくれた学校にお邪魔しました

江東区立水神小学校

2025年3月4日、今年度最後となるメディア・リテラシー教室が開催されました。
ふだんは事務局で学校との窓口を担当している筆者が、今回、午前午後の教室に参加してくれた江東区立水神小学校のみんなに会いに行ってきました! 当日の教室の様子をお伝えします。

「今日はよろしくお願いしま~す!」
元気いっぱいの挨拶から始まったメディア・リテラシー教室。
「ほかの学校のお友だちと会えるのがすごく楽しみ!」子どもたちの様子に、こちらもうれしくなります。

教室当日の画面から。4つの学校が1画面の中に。

今回参加してくれたのは埼玉県所沢市立林小学校、愛知県愛西市立北河田小学校、広島県広島市立草津小学校、そして東京都江東区立水神小学校のいずれも5年生。リモートで4校つながると、みんな手を振って盛り上がります! それでは教室が始まるよー!

江東区立水神小学校5年2組の教室は元気いっぱい。

まずはそれぞれの学校紹介から。
学校の自慢や地域の特色など、画像3枚を使って発表していきます。
「私たちの学校のマスコットキャラクターを紹介します!」
「私たちの学校ではセレクト給食があります!」
「学校の近くにはカキ小屋があります!」

他校の紹介に水神小の教室からは、「わ〜うらやましい!」「いいなー!」の大歓声! ふだん私は画面を通して見ているので、教室ではこんなに盛り上がってくれていたなんて! 感動です。

水神小は、鼓笛隊活動が盛んなこと、特産の亀戸大根などを紹介してくれました。お友だちが発表しているときも、クラスみんなで応援したり、拍手したり。心温まりました。


事前課題「ケーキ屋さんのコマーシャルを作ろう」

発表する子どもたち。ちゃんと練習もしてきました!

続いては、みんなで取り組んでくれた「ケーキ屋さんの魅力を伝えよう」の課題発表です。
事前配布した16枚の画像から、各学校が、おなじセリフに合わせて、ケーキ屋さんのCMを作るイメージで4枚の画像を選びます。あとで、なぜその画像を選んだのか、理由を発表してもらいます。

この課題の目的は、画像のアップとルーズの特性について知ること。
「どうしてアップの画像を選んだのかな? ルーズの画像とは迷いませんでしたか?」とアナウンサーが問いかけます。

児童 「ルーズにすると、関係ないものが写ってしまうから、このアップの画像を選びました」
アナウンサー「とても大事なことに気付いてくれたと思いました! ルーズだ(周辺の)色んなものが分かるけど、どこかを強調したい場合はアップの方がいいな、ということを教えてくれたと思います」

進行役のアナウンサーの質問に答えながら考えを深めていきます。
4つの学校が選んだ画像を並べて見て、同じところ、違うところなどを比較しながら、選んだ理由を聞いていきます。

発表のあいだには、ワークシートを書く時間や、お友だちと話し合う時間を設けています。
みんなどんなことに気付いてくれたのかな? 他校の発表を聞いてどんなこと思ったのかな?

子どもたちは一生懸命にワークシート記入に取り組んでいます

画像の加工ってどこまでならOK?

後半は、子どもたちにとって身近にある画像加工について、事例をもとに学んでいきます。
画像加工された写真と、加工をしていない写真。どの場面だったら加工していいの? この場合はダメかな? 2枚の写真を見比べながら、児童に意見を求めます。

札を持ってカメラの前で発表「加工はしない方がいいと思います」

児童「この写真は加工しない方がいいと思います」
アナウンサー「じゃあ、ちょっと暗く写っちゃった場合は? 明るくしてもいいかな?」
児童「それはいいと思います。暗いと、顔が分からなかったりするから」
アナウンサー「顔のニキビを消すのはどうですか?」
児童「きれいに見せたいとかじゃないから、いいと思います」

また、風景の写真を見ながら、
アナウンサー「海の色をあざやかにするのはどうですか?」 
児童「んー、……そのままを写真にしたほうがいいと思います」

どんな時、どの程度なら加工していいと思うのか? みんな感じ方が違うことに子どもたちは気づいていきます。

メディア・リテラシー教室は100分間(途中10分の休憩あり)。情報の「送り手」「受け手」両方の立場から、みんなと一緒に考え、学んでいきます。

オンラインでつながった学校と意見は「同じ?」「ちがう?」

「この取材も使わないものがあるの?」子どもたちの成長を感じました

教室を終えて、子どもたちに感想を聞いてみました。

児童1)ケーキ屋さんで、ほかの学校の意見を聞いて、アップとルーズを使い分けるのが大事なんだって分かった!
児童2)おなじ画像を選んでいるのに、選んだ理由が違って、そういう意見もあるんだって思った。ほかの学校の発表が良くて、すごいなって思った。
児童3)見ている情報は全部の情報じゃないんだとか、画像は加工しすぎると、
(受け手に)印象と違うな、とか思われてしまうと分かったので、自分がこれから情報を発信するようになったら、気を付けていこうと思った。
児童4)他校のお友だちと会えるのを楽しみにしていました。 学校紹介でほかの学校について知れたのが楽しかった。
児童5)みんなの意見を聞いて、こんな考え方もあるんだなーとか、いろんな考え方があるんだなって分かった。

左)5年2組担任の松岡亮太先生 右)5年1組担当の木村知裕先生

先生にも今日の感想を伺いました。お二人からはこんな声が聞かれました。
「伝えられているすべての情報が正しいわけではなくて、思い込みもあるだろうとか、(送り手の)見せ方で(受け手の)感じ方が変わってくるということ、さらに、いろんな意見があるということを、子どもなりに理解していると感じました。
子どもたちが考える良い機会になったと思います」
「この教室をきっかけに、自分なりに物事を判断できるようになってほしいですね」


今の子どもたちにとって、生まれたときからメディアはとても身近にあるものです。
これから送り手にもなっていくだろう皆さんが、メディア・リテラシー教室で気づいたこと、学んだことを生かしながら、想像力を働かせて楽しくメディアと付き合ってくれるといいなと思いました。

最後に、ある児童からこんなことを聞かれました。
「この取材も使うものと使わないものがあるの?」
ドキッとしました。そして教室で学んだことをさっそく生かしてくれている! とうれしくなりました。
(取材した内容は、今回情報の送り手となった筆者が編集し、このようにしてみました♪)

現代の子どもたちが接する情報量は日々増加しています。その中でどうメディアと向き合っていくのか? 「つながる!NHKメディア・リテラシー教室」では、全国の小学生(5・6年生対象)と一緒にメディアとの向き合い方を学んでいきます。ぜひ、ご参加お待ちしています。

2025年度「つながる!NHKメディア・リテラシー教室」参加校の募集が始まりました! お申込み方法など詳細は、NHKの「つながる!NHKメディア・リテラシー教室」公式ページで、ご確認ください。※ステラnetを離れます

【2025年度の開催日程】
<2025年>
6月24日(火)・7月9日(水)・9月11日(木)・9月30日(火)・10月30日(木)・
11月21日(金)・12月9日(火)
<2026年>
1月23日(金)・2月19日(木)・3月3日(火)

 

(取材・文:メディアリテラシー教室事務局)