ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、がわ(花の井)役の小芝風花さんから!


小芝風花さんの第10回振り返り

——花嫁道中の感想をお聞かせください。

花嫁道中の衣装は布団みたいな厚さで、これまで着た衣装の中で一番重かったです。セットでの撮影だったので暑くて、でも汗をかくと白粉おしろいが取れてしまうので、待ち時間はスタッフのみなさん総出で、扇風機の風を送ってくれたり、保冷剤を当ててくれたりしました。

身請けされて堂々と吉原の大門を出ていくことは、本来なら花魁おいらんたちにとって数少ない希望です。「もうお勤めをしなくてもよい」という解放感があるはずで……。でも、瀬川にとっては、ここを出たらつたじゅう(蔦屋重三郎/横浜流星)とは二度と会えない“別れの道中”でもあって……。とても複雑な気持ちで、ずっと苦しかったです。

大門に向かう道中、最初は蔦重と目を合わせていたんですけど、吉原のみんなに「おさらばえ」と別れを告げて振り返ったときには、もう蔦重の目を見ることができませんでした。見たら、大門を出て行けなくなりそうで……。

だから、蔦重とすれ違うときは、これから私はけんぎょうの妻として生きて行かなきゃならない、生きていくんだ、各々別の道を歩むんだ、と蔦重への思いに蓋をして、前だけを見て大門をくぐりました。本当に複雑で、苦しい花嫁道中でした。