ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、はながわ)役の小芝風花さん、いね役の水野美紀さんから!


小芝風花さんの第9回振り返り

──名跡の瀬川を襲名した重みを女将おかみのいねから諭される場面、どう受け止めましたか?

いねさんも女郎たちの気持ちがわかった上で、あえて情を捨てているのでしょう。彼女の中でもすごい葛藤があっただろうと思います。

花の井にしても、蔦重(横浜流星)と一緒になりたい気持ちは消えてないし、足抜けすれば実現できたかもしれない。それでも瀬川を継いだからには、あとに続く女郎たちの憧れでいなくてはならない。なぜなら、身請みうけをされて華やかに大門を出ることが、女郎が幸せになれる数少ない道だから。いねさんからぶつけられたその言葉は、心に深く突き刺さりました。

いねを演じる水野さんはこの役にピッタリで、迫力もあって生き生きとリアルに生きていらっしゃるので、ご一緒のシーンは、いつもワクワクしながら撮影しています。


水野美紀さんの第9回振り返り

——いねは女郎に対して厳しいですが、どのように考えて役作りをされましたか?

最初に監督から「金勘定に厳しい人」と言われたので、神経質でピリピリしていて、ちょっと怖い感じの女将をイメージしながら演じています。でも、いね自身が女郎出身なので、女郎たちの気持ちは一番わかるんです。だから、怖いばかりではない表情も見せられたら、と考えています。

——花の井に対する感情は、ほかの女郎に対してとは違うんでしょうか。

小さい時から見てきているし、瀬川をよみがえらせるという長年の念願もかなえてくれたしで、花の井に対しては特別な感情があると思います。だからこそ、蔦重と足抜けしようだなんて馬鹿ばか真似まねはしないで欲しいと思ったんでしょう。

女郎に間夫まぶ(情夫)ができて、足抜けしてでも添い遂げたいという気持ちもわかるけど、足抜けした後の現実——結局貧乏になって、別のところで体を売って病気になって苦しんで——という、なれの果てがわかるから、そうはさせたくないと考えているんですね。

花の井だけでなく、うつせみ(小野花梨)にも幸せになってほしい。でも、それには金持ちに身請けされて、堂々と吉原から出ていくのが唯一の道。それを、女郎みんなに言い聞かせたんです。結局、吉原の中でしか女郎たちを守ってあげられないんですよね。そして、そのためには松葉屋が潤っていないと……。いねが金勘定に厳しいのには、理由があると思っています。