現在、Eテレで放送中のミニアニメ「チキップダンサーズ」と、2023年に総合テレビで放送される「進撃の巨人The Final Season完結編」に出演している声優・石川由依さん。ことし3月発売のNHKウイークリーステラで紹介したインタビューを、本誌未掲載部分を加えて再構成し、完全版として掲載します!

出会ったキャラクターたちに
自分のことを教えてもらっています

——「チキップダンサーズ」のアフレコ収録回数も重なって、演じていらっしゃるキャラクターたちへの愛着も深まっていると思いますが、改めて作品に対する思いを聞かせていただけますか?

今は、たくさんのアニメ作品が作られていて、大人向けの深い内容を持つ作品も多いのですが、それこそ、Eテレのミニアニメって、きっとみんなが通る道だと思うんです。大人になって詳しい内容まで覚えているどうかは分からないけれど、そのときに感じた“楽しい”“好きだ”という気持ちは、ずっと残っている気がしますね。

この「チキップダンサーズ」も、それこそ会話の内容を全部は理解できないくらい小さな子でも、踊っている「ほねチキン」の姿を見るだけで楽しいと思いますし、ちょっとシュールな表現は大人が見ても楽しめる。そういう幅広い世代に見てもらえる作品に携わらせていただけることに大きな喜びを感じながら、毎回のアフレコ収録に臨んでいます。

© San-X/チキップダンサーズおどるん会

  ご覧になった方々の反響は、石川さんの耳にも届いていますか?

SNSなどで、幼稚園で結構流行っているということを目にして、「あ、そうなんだ!」とうれしくなりますね。

私の小学校のころからの親友の息子くんが10歳くらいなのですが、私が出演していると言っていたわけではないのに「録画して何回も見ているよ」という話も聞いて。「からだがうごくと、こころもおどる♪」という作品のコンセプトどおりに、やっぱり一緒に踊りたくなる気持ちになるんでしょうね。

私自身も見ていてクセになるというか。リアルタイムで見ることはなかなかできていないのですが、録画してあるので、ごはんの間に見たりしています。

  この作品では「りんごあめ」や「だんご」をはじめ、いろいろなキャラクターを演じていらっしゃいます。その演じ分けの難しさはありますか?

「りんごあめ」と「だんご」は、基本的にいつも一緒にいるんですよ。花江夏樹くんが演じている「ほねチキン」はあまりしゃべらずに、「りんごあめ」と「だんご」が物語を進めて、そこに花江くんが演じる別のキャラクターが絡んで、最後にスキップガエル先生が登場して、みたいな。だから自分が担当するキャラクター同士の掛け合いも多いし、同時にしゃべることも多くなっています。その画面の中には登場していなくて、会話していることもありますし。

同じシーンを何度か収録するのですが、声色を変えながら言葉を合わせていく中で、ときにはテンポをずらしたり、微妙に言い方を変化させたりすることに気をつけていますね。特に「りんごあめ」のおませな感じとツッコミ役に回るときのメリハリ、おしとやかな「だんご」のおねえさんとしてみんなを見守るような感じを意識しながら演じています。

© San-X/チキップダンサーズおどるん会

  共演の花江さんは、以前の取材で、石川さんの声について「凛とした強さの中に温かい優しさがあって、ずっと聞いていたくなります」とおっしゃっていたのですが、ご自身では自分の声の特徴をどのように感じていらっしゃいますか?

私自身は、「こんなに特徴のない声なのに、声優をやっていて大丈夫なのかな」と思ったりもしたくらい、自分の中に「私は、こういう声です」「これが得意です」というものがなかったんです。よく“声優さんあるある”で、「声が特徴的だから、昔は自分の声が好きじゃなかったけれど、声優になって好きになりました」という話を聞いたりしますが、私にはなくて。

なので、声優の仕事をやっていく中で出会ったキャラクターたちから、改めて自分のことを教えられるというか、知るというか。クールな役を演じることが多かったりもするので、それが合っているよとみなさんに評価していただいたりして、外から教えてもらっている感じがありますね。

  ちなみに、初めての声のお仕事はNHK-FMのオーディオドラマでしたよね。

そうなんです!小学生のころ既に劇団に入っていたのですが、当時「青春アドベンチャー」「しゃばけ」(原作は、畠中恵のファンタジー時代小説)という作品に出演させていただいて、初めて声だけのお仕事に挑戦しました。

そのとき「声の仕事もいけそうだね」と言われたことで、すごくうれしかった記憶があります。最後のクレジットで「感想をお寄せください。宛先は......」みたいなことも言わせていただいて、それもうれしかったですね。がっつりと「天才てれびくん」世代だったので、番組の中で「お手紙を送ってください」と言ったりするのが憧れでした(笑)。

  それからも「FMシアター」を含めて、オーディオドラマにたくさん出演されています。

NHKのオーディオドラマって、俳優さんを使われることがすごく多くて、声優の仕事というよりは役者としての仕事の中の声の部分、みたいな感覚が私の中にはありますね。声優でもドラマCDのような仕事があるのですが、マイクがあったらそこから動くことはなくて。

でもオーディオドラマは、例えば歩いてくるシーンだと、広いスタジオの少し離れたところから歩きながらマイクの前に立つとか、水を飲むシーンがあったら実際に水を用意して飲んだりとか、リアルに動く動作も含まれてきます。そういった意味で、舞台に立つ俳優と声だけの声優の間の職業というか、そういう仕事だなといつも思っています。

(インタビュー後編へ続く)


撮影/浅倉優子 ヘア&メーク/今家真美
いしかわ・ゆい
5月30日生まれ、兵庫県出身。8歳で初舞台を踏み、舞台やミュージカルで数多く主演を務める。2007 年にアニメ「ヒロイック・エイジ」ディアネイラ役で声優デビュー。主な出演アニメ作品は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「トロピカル〜ジュ!プリキュア」「ブラック★★ロックシューターDAWN FALL」ほか。

「チキップダンサーズ」
Eテレ 毎週火曜 午前8:45~8:50
「進撃の巨人The Final Season完結編」
総合テレビで、2023年放送予定
NHKアニメホームページ http://https:/www.nhk.jp/g/anime/