表題の曲は小坂一也さんが昭和32年に発表した歌です。歌詞は春夏秋と変わっていきますが、“ヤッホー”と叫びたくなるほど気持ちよかったのでしょう。元祖和製プレスリーと呼ばれた小坂さんですが、「紅白歌合戦」で歌った曲は「ハートブレイク・ホテル」「青春サイクリング」「心にしみるブルース」と様々です。俳優としても数々の映画やドラマに出演し、名脇役として活躍されました。
先日、久しぶりに近所の自転車店に出向きました。タイヤの空気がすぐに抜けてしまうようになったからです。とても親切な店主で、「大事に乗ってますねぇ」などと褒めてくれます。しかも無料でバルブ(自転車に空気を入れるときの金具部分)を交換してくださり、タイヤは無事回復しました。
この自転車を購入したのは18年前。広島放送局に転勤した年です。水色が爽やかな車体で「3段変速、自動点灯ライト、前籠付き」で2万円ほどだったと思います。街乗りに変速機能は必要ないと思ったのですが、店の人に「広島市内は上り下りが多いので便利」と勧められました。広島は市街地を流れる河川が6本。そこに約80の橋が架かっています。そのたびにちょっとしたアップダウンがあるため、確かに変速機能は重宝しました。
今だから告白しますが、この自転車は一度撤去されたことがあります。毎日の通勤では、会社のあるビルから平和大通りを隔てた駐輪場に停めていたのですが、ある日、すぐに済む用事だからとビルの前の歩道に停めてしまいました。用事を済ませて戻ってくると無い。仕方なく広島市の自転車保管所に連絡して引き取りに行きました。ところがこの保管所が遠い! こんなときに自転車があればなあと思いながら一時間ほど歩いて保管所に到着。規定の手数料を払って手元に戻ってきました。
長年の働きで、愛車からは軋む音が聞こえてくるようになりました。しかし水色の車体は今も鮮やかで、暗くなるときちんとライトを点灯してくれます。むしろ最近は、私の運動神経と反射神経が“劣化”してきているようですが、こちらの方は修理が難しそうです。
(よしの・きよし 第1・3水曜担当)
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年11月号に掲載されたものです。
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