2025年秋より放送予定の連続テレビ小説「ばけばけ」。

先日、ヒロイン・松野トキを髙石あかりさんが演じると発表されたが、続いて、小泉八雲をモデルにした、トキの夫・ヘブン役が発表された。

国内から246人、海外から1521人、計1767人の応募の中からオーディションで決定。見事、大役を射止めたのは2024年エミー賞受賞ドラマ「SHOGUN 将軍」にて、メインキャラクターの一人であるマルティン・アルヴィト司祭を演じたトミー・バストウさん。ロックバンド「FranKo」のリードボーカルとして現在も活動中の英国人俳優だ。

会見では主演の髙石あかりさんと一緒に着物で登場し、朝ドラ初出演への意気込みを語った。


日本語は独学で10年勉強

日本のドラマ初出演となるトミー・バストウさん。「朝ドラを知っているか?」という記者の質問に「日本のホストファミリーの家に滞在していた時に、朝ご飯を食べながら『ブギウギ』を見ていた」と話し、「かけがえのない時間だった」語った。

オーディション合格の連絡は、タイのレストランで友人と食事をしていたときにメールで受け取ったという。「友人に高い赤ワインを買ってもらい、これまでの人生で一番おいしいワインだった」と笑顔を見せた。

会見に同席した制作統括の橋爪國臣さんが「まさかこんなに日本語が堪能な人が来てくれるとは思っていなかった」と話すほど、日本語がりゅうちょう。バストウさんは、

「日本の文化、日本の映画が好きでとてもかれました。独学で10年勉強していますが、まだまだ難しい。黒澤明さんの映画が好きなのですが、日本語を勉強するにはわかりにくい(笑)。リアリティー番組が勉強になります。最近覚えた日本語は『臨機応変』」

と、日本語を学んでいる理由を語った。すでにハリウッドで活躍する俳優だが、朝ドラのオーディションを受けた理由について、「俳優として、日本でもキャリアをつみたくて、そのためにはやっぱり朝ドラに出たかった」と語り、夢がかなったことを喜んだ。


言葉が通じ合っていないのに心が通じていることを演じられる人

また、バストウさんは、

「小泉八雲のことは知りませんでした。大きなチャレンジです。勉強するうちに、彼は冒険が好きだし、日本が好きで、自分と気が合うところがたくさんあることがわかりました。両親に捨てられ、愛をずっと求めていた人。いろんな国に行って、いろんな人と会って、愛を求めますが、求めれば求めるほど人間関係が難しくて距離を置いてしまう。私の経験もプラスしながら、ヘブンさんのエッセンスを伝えたい。うそ偽りなく伝えたいと思います」

と役への想いを語った。髙石あかりさんについては、映画『ベイビーわるきゅーれ』を観たと言い「アクション、コメディー、本当に素晴すばらしい演技でした。一緒に仕事をできるのが楽しみです」と絶賛した。

一方、髙石さんはバストウさんについて、

「今日は『だんさんに会いに行くんだ』という気持ちで来ましたが、お会いしてみると、本当に魅力があふれる方。誰とでもフレンドリーで、しっかり相手の目を見てお話しされるところがすごくてき。この人が旦那さんで、隣で支えてくださるのが楽しみです。2人(トキとヘブン)の空気感は本当にかわいらしくて魅力的なので、そういう空気感をトミーさんと一緒につくっていけたらと思っています」

と語り、すでに“松野トキ”になっているかのような笑顔を見せた。そして、会見に同席した演出の村橋直樹さんは、

「トミーさんは日本語は上手ですが、言葉が通じないことへの恐れがない人。自分の発している言葉が相手に届いているか、そういうところにすごく誠実な人。それはヘブンを演じる上でとても大事なことで、そんな部分がお芝居に乗っていく人だな、と感じられたのが起用の決め手でした」

と、オーディション時を振り返った。制作統括の橋爪さんも、

「言葉が通じ合っていないのに心が通じているような、微妙な感覚に引き込まれていきました。このドラマでのテーマでもあり、それを芝居で体現できる方という印象で、間違いなくこの人だと思いました。演技も圧倒的な力をもっている。1年間ご一緒出来るのが楽しみです」

とクランクインへの期待を語った。

記者会見の最後にメッセージボードが登場。バストウさんが日本語で「ありがとう!」、髙石さんが「ばけばけ‼ 半年間よろしくおねがいします」と書きこんでおり、2人の直筆サインとともに記念写真を撮影した。

【作・ふじきみつ彦さんのコメント】
まずは、ヘブン役オーディションに参加して下さった皆さん、本当に本当にありがとうございました。ヘブンは強い個性を持った人物のため、彼を演じられる方にはなかなか出会えないだろうと思っていたのですが……、出会えました。

トミーさんは我々に、ヘブンってきっとこんな人だったんだろうと思わせてくれました。それはヒロインオーディションで髙石あかりさんに出会った時と同じ感覚でした。今書いている脚本ではヘブンとトキはまだ知り合ってもいないのですが、早く出会わせて夫婦にしてあげたいと、トミーさんに決まってからはそんな気持ちで書き進めています。

来年秋からの半年間はヘブンとトキの魅力に包まれる朝になると思いますので、皆さん楽しみに待っていて下さい。

【制作統括・橋爪國臣さんのコメント】
すでに撮影開始が待ち遠しくてなりません! トミーさんは私たちが探し続けていたヘブンさんそのもの、いや、想像を超えてヘブンさんです。オーディションの現場にいたみんなが彼にれていました。偏屈さとチャーミングさを併せ持つヘブンさんを見事に作り出してくれていました。

「ばけばけ」を制作するにあたって、ヘブン役を見つけることはミッション・インポッシブルと言っていいほど難しいものだと思っていました。オーディションは、日本国内だけでなく、アメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなどの海外でも募集し、1767 人もの方に参加していただきました。

皆さんがこの役を演じるにあたっての熱い思いを聞いて、本当に心を打たれ、かけがえのない時間になりました。ご参加いただいた皆さんに心から感謝申し上げます。

今日、ヒロインの髙石あかりさんとトミーさんが初めて出会いました。これから2人がどう役を生きて、どう変わっていくのか期待でいっぱいです。2人とともにスタッフ一同、楽しいドラマをお届けできるよう邁進まいしんしてまいります。


【プロフィール】
トミー・バストウ(TOMMY BASTOW)
1991年8⽉26⽇⽣まれ、イギリス出⾝。2007年、ロックバンド「FranKo」を結成し、リードボーカルとして現在も活動中。'08年、『ジョージアの⽇記/ゆーうつでキラキラな毎⽇』でメジャー映画に初出演し、イギリスで俳優としてのキャリアをスタートする。'18年よりアメリカにも活動を広げる。主な出演作に、ソニー・ピクチャーズ映画、ケリーマディソン監督による『ネバー・バックダウン/⾃由への反乱』('21)、TVドラマ「Man in an Orange Shirt」((17/BBC)、ハイ・コンセプトSFシリーズ「The Crossing/未来からの漂流者」('18/ABC)、⽇独合作の「ザ・ウィンドウ」('22/ZDF・フジテレビ系)など。'24 年エミー賞受賞ドラマ「SHOGUN 将軍」にて、メインの⼀⼈であるマルティン・アルヴィト司祭を演じ、注⽬される。10年間ほど⽇本語を学んでおり、⽇本語が堪能である。

2025年度後期 連続テレビ小説「ばけばけ」

2025年秋 放送スタート
毎週月曜~土曜 総合 午前8:00~8:15ほか

【物語のあらすじ】
明治時代の松江。まつトキは、怪談話が好きな、ちょっと変わった女の子です。
松野家は上級士族の家系ですが、武士の時代が終わり、父が事業に乗り出すものの失敗。とても貧しい暮らしをすることになってしまいます。
世の中が目まぐるしく変わっていく中で、トキは時代に取り残されてしまった人々に囲まれて育ち、この生きにくい世の中をうらめしく思って過ごします。
極貧の生活が続き、どうしようもなくなったトキのもとに、ある仕事の話が舞い込んできます。
松江に新しくやってきた外国人英語教師の家の住み込み女中の仕事です。外国人が珍しい時代、世間からの偏見を受けることも覚悟の上で、トキは女中になることを決意します。その外国人教師はギリシャ出身のアイルランド人。
小さい頃に両親から見放されて育ち、親戚をたらい回しにされたあげく、アメリカに追いやられ、居場所を探し続けて日本に流れ着いたのでした。
トキは、初めは言葉が通じない苦労や文化の違いにも悩まされます。ところが、お互いの境遇が似ている事に気が付き、だんだんと心が通じるようになっていきます。しかも、2人とも怪談話が好きだったのです!
へんてこな人々に囲まれ、へんてこな2人が、夜な夜な怪談話を語り合うへんてこな暮らしが始まります――。

※実在の人物である小泉セツ(1868~1932)をモデルとしますが、大胆に再構成し、 登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描きます。原作はありません。

作:ふじきみつ彦
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史