スタッフが“オーディションでの芝居を見て涙した“
3365人の応募者の中から満場一致で決定

『アンパンマン』の生みの親である漫画家、やなせたかし。2025年度前期の朝ドラ『あんぱん』は、やなせとその妻・小松のぶをモデルにして描く、愛と勇気の物語だ。2月2日、東京・渋谷のNHK放送センターで記者会見が開かれ、ヒロイン・朝田のぶを演じるのが今田美桜だと発表された。
3365人が参加するオーディションでヒロイン役を射止めたという今田。

「やっと皆さんに(ヒロインを務めると)お伝えすることができて、ホッとしています。撮影はまだまだ先ではありますが、のぶさんの思いを抱きながら、日本の朝を元気にできるよう精一杯務めたいと思います」

と輝くような笑顔を見せた。
今田自身が、ヒロインに決定したという知らせを聞いたのは、去年12月半ば。「最終面談をしたい」と呼ばれたNHKでのことだったという。

「朝の8時にお伺いしたんですけど、あんぱんとコーヒーが用意されていて。今放送されている朝ドラ『ブギウギ』が流れているのを見ながら『(ヒロイン役を)受けていただけますか?』とサプライズで言われました。『よろしくお願いします』とお答えしたら、その場にいたスタッフの皆さんがクラッカーを鳴らしてくださって、すごくうれしかったです。若干、涙しました(笑)」(今田)

今田は2021年度前期の「おかえりモネ」以来の朝ドラ出演で、今回はヒロインの立場で朝ドラの現場に戻る。今の心意気を問われ、

「『おかえりモネ」のときは、わりと近くでヒロインの清原果耶ちゃんを見させていただいていました。朝ドラの撮影は約1年間ありますし、それだけ長く同じ役を続けて演じるというのは、もちろん大変ですが、すごいことだなと。それを今回、自分がやることになって……正直、緊張しています。やり切れるのかなとか、いろんな不安もありますけど、でもずっと一緒にいるキャスト・スタッフの皆さんとはきっと家族のような時間を過ごすんだろうなと思うので、本当に甘えながら、頼りながら、助けていただきながら、明るく元気に乗り越えたいです』

と語り、決意の表情を見せた。
また、やなせたかしの印象についても質問が。

「とてもあたたかくてやわらかくて、すごく面白い方。いろんな経験をされているのだなとも思いました。なので、きっと暢さんと過ごす空間はとても明るくて、2人ともずっと笑顔だったんじゃないかと想像しました」

とコメント。また、『アンパンマン』で好きなキャラクターを問われ、

「ドキンちゃんですね。天真爛漫さが大好きで、高校生のときかな、ドキンちゃんのキーホルダーをつけていた記憶があります」

と明かした。
すると、本作の脚本を担当する中園ミホが「選考が終わってから気づいたんですが、こんなにドキンちゃんに似ている女優さんていないなと思いました」と一言。

実はドキンちゃんは、やなせが妻・暢をモデルにしたと言われているキャラクターだ。「そうですか? うれしいです」と今田がはにかむと、さらに中園は、オーディションで彼女を選んだ理由についても言及。

「たくさんの、そうそうたる女優さんたちがオーディションを受けてくださったので、選ぶのは本当に大変だったんです。でも、最終オーディションで今田さんのお芝居に、スタッフの何人かが涙していたんですね。それを見て、私も『のぶさんてこういう人じゃないか』と思えました。あたたかくて、力強くて、みずみずしい。その瞬間、私の中では今田さんに決めていました」(中園)

絶賛を受けた今田は「ただただ、うれしいの一言に尽きます」と、言葉もない様子。
制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサーも、

「今田さんは、セリフやト書き一つ一つの理解力が素晴らしい。なぜこのセリフ、ト書きがあるのかをきちんと理解し、それを芝居に落とし込む力があります。最終オーディションのとき、今田さんがのぶさんに見え、1年に及ぶ撮影をこの方と一緒に走っていきたいと思いました」

と明かした。多くのスタッフを魅了する今田が、朝田のぶとしてどんな姿を見せてくれるのか、期待が高まる。
『あんぱん』の撮影はことし9月ごろに開始予定。のぶの出身地である高知県でのロケも行われる。高知という土地の魅力やカルチャーも存分に楽しめそうだ。

左から、制作統括の倉崎、今田、中園。

【今田美桜プロフィール】
1997年3月5日生まれ。福岡県出身。15年 映画『罪の余白』でスクリーンデビューを果たし、18年ドラマ『花のち晴れ 〜花男 Next Season〜』で真矢愛莉役を演じ大きな反響を得た。21年に映画『東京リベンジャーズ』で第45回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。22年、ドラマ『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ)でドラマ初主演を果たす。近年の主な出演作に、映画『わたしの幸せな結婚』『東京リベンジャーズ』シリーズ、ドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ)、『トリリオンゲーム』『ラストマンー全盲の捜査ー』『半沢直樹』(TBS テレビ)、ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)など多数。連続テレビ小説への出演は、2021年の『おかえりモネ』以来の二度目となる。