「アニソン・アカデミー」生徒会長(番組MC)の“しょこたん”こと中川翔子による連載コラム。今回は、緊急事態宣言発令中(2020年7月時点)の「ステイホーム」期間に熱中していた、動画サイトでの“活動”について語ります。

最近は、いろんなお仕事が動きだしてきたのですが、新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言の期間は、2か月近く、「おうち時間」を過ごしていました。ほとんどのお仕事がストップして、最初の数日は、それこそ人生どうなっちゃうんだろう、ぐらいに思っていて。

でもYouTubeを始めてから、すごく楽しくなって、全然大丈夫でした。大好きな漫画やアニメの絵を描いたり、ゲーム実況をしながら12時間近くしゃべり続けたり。自分の好きなことだから、全く苦にならないんですよね。めっちゃ楽しい場所を見つけちゃったな、みたいな。

昔「しょこたん☆ぶろぐ」を始めたときも、学校では言えなかったこと、思っていたこと、自分の好きなことをいっぱい話せる場所ができて、「やっと息ができる」という感覚になったけれど、あのときの感覚に似ているかもしれません。

自分は楽しいからやっているけれど、それを「わかる、わかる」って言ってくれる人たちがたくさんコメントをくれて。やることがあるのって、幸せなことだなと思いますね。

ゲーム実況では、日本中、そしてアメリカやイギリスからも参加してくれて、ネットがあるおかげで、人とつながれる喜びを感じました。

近ごろはぼう中傷が話題になったりして、ネットの闇の部分も取り沙汰されていますが、私にとっては「楽しいね」とか「これ、いいよね」とか、そんな気持ちを共有できる、魔法のような場所。私はネットのおかげでやることがあるというだけで、全然変わってきますね、日々のモチベーションが。

YouTubeでは、コロナ対策のための漫画動画も公開しました。子どもたちに「見てよかった」と思ってもらえるものにしたくて、自分で構成を考えて、漫画を四十何枚か描いて、声をアテレコして、ナレーションも読んで、10分くらいの動画にして。

たぶんお仕事として「これやって」って言われたら、相当の枚数があったから「やだな、しんどいな」と思ったかもしれないけれど、これは自分がやりたいことだったし、筆が止まらなくて楽しかったですね。仕上げ作業中は、もちろんアニソンを聴きながら♡

ただ、これを描いているときは、まだ新型コロナウイルス自体に謎が多くて、人も亡くなっていたから、発表したら“炎上”するんじゃないかと、ちょっと怖かったんですよ。間違ったことを描いちゃいけないし、ネットに出ている情報も正確かどうか判断に迷ったし。

でも、びっくりしたのですが、山寺宏一さんや平野綾さん、そしてアニソン界のレジェンドのみなさんが、動画アップと同時に「思いが伝わってきたよ!」ってすごく反応してくれて。もう泣きそうになりました。

これからも状況は日々変わっていったりすると思うので、新しい生活様式の中で何か思うことが見つかったら、また描きたいなって思っています。

5月5日生まれ、東京出身。2004年に開設した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」が大評判となり、アニメ・漫画・特撮・カンフーなどの豊富な知識で大きな話題を集める。2006年に歌手デビューして、翌年「空色デイズ」で「第58回NHK紅白歌合戦」に出場。俳優としてのNHKドラマ出演は、連続テレビ小説「まれ」、ドラマ10「デイジー・ラック」ほか。2011年公開のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」(日本語吹替版)では、主人公・ラプンツェルの声を担当。4月には中国・上海での音楽ライブ出演、5月には毎年恒例のバースデーライブ開催も決定している。

(NHKウイークリーステラ 2020年7月31日号より)