60歳から水泳を始めて、70歳でトライアスロンに挑戦したいなひろむさん(90歳)。その後も数々のレースに出場し、78歳でアイアンマン世界選手権大会に初出場を果たし、以降9年連続で同大会に出場。83歳と85歳での記録はギネス世界記録に認定されました。90歳の今も、アイアンマンレースに挑戦し続ける稲田さんが、レースにかける情熱を語ります。
聞き手/恩蔵憲一この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2023年12月号(11/17発売)より抜粋して紹介しています。


稲田 76歳のとき、長崎県・五島で開催されたアイアンマンレースに初挑戦しましたが、最後のランで足がつって、17時間の制限時間内にゴールできなかったんです。初めての挫折にショックを受けてうなだれていたら、大会関係者の方に「来年も挑戦するなら、一人で練習していたらだめ。あなたの家の近くにオリンピック選手を輩出しているトライアスロンのクラブがあるから、そこで練習したらどうか」とアドバイスされました。

年寄りが行っても……と迷いましたが、思い切って行ってみたらすんなり受け入れられて。それからはコーチについて、それまでとは質も量も桁違いの練習をこなすようになりました。たくさんの仲間もできて、精神的にも肉体的にも飛躍的に進化しました。

――大変な体力を使う競技ですが、ふだんから気を付けていることはありますか?

稲田 まず、睡眠は8時間とっていて、ほぼ毎日体を動かしています。基本的には毎日泳ぎますし、バイクも妻の墓参りを兼ねて走ったり、ランニングも10〜15キロメートルは走っています。その日によって距離は違いますが、年を取ると休むと元に戻らないと思うので、休めないですね。

食事は自炊をしていて、朝は20種類ほどの野菜ときのこが入ったスープ、蜂蜜とブルーベリージャムを塗ったライ麦パン、たんぱく質は鶏胸肉や豚肉からとります。夜は玄米ごはんを茶わん一杯、青魚や、納豆にキムチを混ぜたもの、具だくさんのみそ汁などきちんと食べています。

――稲田さんの原動力は何ですか?

稲田 好奇心と情熱ですね。トライアスロンに出会うまで、こんなにも一つのことに打ち込んだことはなかったんです。この年齢まで続けられているのはうれしいし、楽しくてしかたがない。僕の青春は今なんだと、みんなに言って、よく笑われています(笑)。

やりたいことがあれば即やってみる。だめで挫折することもあるかもしれないけれど、「やればできる!」がモットーです。※この記事は2023年8月29日放送「90歳、“鉄人”は、今が青春!」を再構成したものです。

続きは月刊誌『ラジオ深夜便』12月号をご覧ください。

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