NHK-FMの人気番組「アニソン・アカデミー」で生徒会長(番組MC)を務めている“しょこたん”こと中川翔子さんの連載コラム。
今回は、大好きなアニメ「シティーハンター」や、11月1日にリリースされた新曲「65535」についての思いを語ります。


♪トゥットゥル~。中川翔子です。

9月30日放送の「アニソン・アカデミー」では、私の念願だった「シティーハンター」の楽曲特集が実現しました。講師(ゲスト)にお迎えしたのは、TM NETWORKの木根尚登さん! テレビシリーズのエンディングで流れていた名曲「Get Wild」も、もちろん紹介しましたよ。この曲の「神イントロ」部分が、作曲された小室哲哉さんとアニメの監督さんとの打ち合わせから生まれた制作秘話も話してくださって、心が震えました。

私は「シティーハンター」が好きすぎて、車の免許を取って、赤い車を買って、よく新宿の街をドライブしているのは、全部「シティーハンター」の世界に憧れたから。冴羽獠様の影響ですね(笑)。運転する車の中では、「シティーハンター」のサントラをよく聴いています。

最近はそこに、劇場版最新作の公開を記念して私がカバーさせていただいた「City Hunter~愛よ消えないで~」も加わりました。私、自分の歌を聴くのって、かなり“自分との闘い”になるので勇気がいるんですけど、この曲は別。1980年代のアニメのオープニング映像や登場シーンの、いちばん「シティーハンター」らしい映像を使ってPVも作っていただいたので、すごく尊いな、と。ずっと残るものだし。アレンジも原曲をものすごくリスペクトしたもので、最後にシティポップ感のあるメロディーが加わっているのもエモい! 曲に対して愛を持って、大人の女性をイメージしながら歌ったのですが、「アニアカ」でも流していただいたので、私の「シティーハンター」愛が伝わっていたらうれしいです。

さて、この曲もカップリングされている私の最新シングル「65535」が、先日リリースされました。こちらは、秋クールのテレビアニメ「16bit センセーション ANOTHER LAYER」の主題歌になっています。アニメ作品のオープニングで流れる曲を担当させていただくのはすごく久しぶりになりますが、私はアニソンを歌うことが夢のど真ん中にずっとあるので、やっぱりうれしかったですね。先に、原作の漫画を読ませていただいたんですよ。美少女ゲームを作る人たちの話で、一生懸命切磋琢磨しながら、結果的にその世界の歴史に残るようなゲームを作った人たちの物語だと思うと、すごくリスペクトだし、ゲーム黎明期に対する興味もあったので、テーマとしておもしろそうだと思いました。

ただ、この曲は……。歌うのが、めちゃくちゃ難しい! 作詞・作曲・編曲をしてくださっているのが、ボカロPの Sohbana さんで、まずボカロが歌う仮歌が届いたんですけれど、音程が行ったり来たり、ボカロはサラッと歌いこなしているのに、私は最初全然歌えなくて。これまでの私の曲は「Aメロ、Bメロ、はいサビ!」っていう感じが多くて、もちろんこの曲の構成もそうではあるんですけど、一発では覚えられない難易度なんですよね。でも、それが逆にオシャレで、今っぽくもあり、イントロのピコピコ感にはゲーム黎明期のエッセンスが入っている感じがして。

かつて経験したことのないメロディー運びだから、先月から全国各地でリリースイベントを開催しているんですけれど、正直、生で歌うのではすんごい大変ですね。力加減も、入れすぎるとちょっと“デジタル感”からブレちゃうし、だけど歌詞の中には、結構熱い言葉があるんですよ。「あらゆるパトス 引っ張り出せ」とか。あのころがあったからこそ、今こんなにありがたい時代なんだ、ということを叫んでいる感じです。残された時間が有限であることも歌詞にしているし、そういうのも好きで、不思議な曲ですね。1回聴くと、何か病みつきになって、もう1回聴こうかなと、どんどん思えるようになっていく曲だという気がします。

この曲のリリースイベントは、今月末まで行います。コンサートやライブに比べるとハードルが低いので、「たまたま地元に来たから」っていうことだったり、私のファンじゃなくても通りかかったら「あ!いる!」みたいに思って見てくれたり、そういうふうに接していただくのも、すごくうれしい。こうして開かれた場所で歌うことも大事にしているので、もし機会があれば、気軽に遊びに来ていただけたら、と思っています。

ボカロP…VOCALOID(ボーカロイド)などの音声合成ソフトで楽曲(ボカロ曲)を制作し、動画投稿サイトへ投稿する音楽家たちの総称。

☆65535…1980 年代に流行した16bitの家庭用ゲームなどのカウンターの上限値。転じて「上限」や「限界」を指すことがある。

5月5日生まれ、東京出身。2004年に開設した公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」が大評判となり、アニメ・漫画・特撮・カンフーなどの豊富な知識で大きな話題を集める。2006年に歌手デビューして、翌年「空色デイズ」で「第58回NHK紅白歌合戦」に出場。俳優としてのNHKドラマ出演は、連続テレビ小説「まれ」、ドラマ10「デイジー・ラック」ほか。2011年公開のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」(日本語吹替版)では、主人公・ラプンツェルの声を担当。4月には中国・上海での音楽ライブ出演、5月には毎年恒例のバースデーライブ開催も決定している。

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