「落語に学ぶみんなの子育て」をテーマに、落語家の春風亭一之輔さん、子育て支援の専門家、汐見稔幸さんをゲストにお迎えして繰り広げられた9月の「みんなの子育て☆深夜便」。いつもとは少し違った切り口で、リスナーの皆さんと子育てのヒントを探りました。
とはいえ、わたし自身が今まで落語に触れる機会があまりなく、子育てと落語が一体どう結びつくのだろう??と少し想像がつかないまま拝聴したのですが、まさに目からウロコ! 番組内で披露してくださった「初天神」という演目を皮切りに、本来あるべき子育ての姿というものを改めて考えるきっかけを与えていただきました。
さて、みなさんは落語の「初天神」をご存知でしょうか? 父と息子でお祭りに出かけて、露天で何か買ってほしい息子と、何も買いたくないお父さんの掛け合いを描いたお話。
欲しいものを見つけては父にねだる息子に「だから連れて来たくないんだよ…」と、思わず吐き捨てるように言う父親に、自分の姿を重ねた方も少なくないはずです(笑)。それでも、どうにか欲しいものを手に入れようとあの手この手で父に頼み込むわけですが、「親子なのにふたりが対等なのがいいよね」と、汐見さん。たしかに、買ってあげる側の父親に“親の威厳”のようなものは一切感じられず、むしろ息子に振り回される様がなんとも愛らしく、シニカルなのにほのぼのした気持ちに。
子どものむちゃぶりにすぐに怒りの感情を爆発させてしまうわたしは、果たして同じ場面であんなふうにおおらかな振る舞いができるのか、、、正直自信がありません。
ちなみに、汐見さんのお話によると、江戸時代は「父親が育児をする時代」と言われるほど、お父さんたちがよく子育てをしていたそうです。その背景には、まず圧倒的に労働時間が少ないこと(平均4時間ほど?!)、それから、農業を営む人が多く、家の敷地内で子どもたちの面倒を見ながら仕事ができたことなどが挙げられていました。
そのかたわら、家事をこなす母親は当然ながら電化製品もなく、洗濯も掃除も食事の支度も相当大変だったはず。必然的に子育ての比重が父親に傾いたのかもしれませんが、現代社会には消え失せてしまった「みんなの子育て」を垣間見た気がしました。
もちろん、昔は当たり前だった異年齢での交流も大切だそうです。群れて遊ぶことで、親がしつけをしなくても子どもは勝手にルールも競争心も覚える。最近だとスマホゲームに夢中で辞めさせるのが難しい、なんて声も多く聞こえてきますが、そもそもみんなで遊ぶ場所が失くなっているんですよね。近隣の公園も禁止事項ばかりで、自由に遊ぶこともままならない。まずは、そういう場をあちこちに作ることが大切だという汐見さんのお言葉もとても印象的でした。
親子が本気で意見を言い合う落語の世界。以前のこども基本法の話じゃないけれど、子どものことは大人が決めない、同じ目線で関わり合うことが、大人と子どもの絆をより強くするのだと改めて感じました。
「初天神」のお父さんが本気でたこをあげちゃうのもすばらしいんです! つい「忙しいし」「疲れてるし」と、子どもの遊びを見守ることに徹しがちだけど、これを機に「本気で一緒に遊ぶ」を実践したいと思います。
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▼「みんなの子育て☆深夜便」▼
10月のテーマは「大事にしたい!子どものワクワク」
ゲストはタレントの安田美沙子さんと、子育て支援の専門家・大豆生田啓友さん(玉川大学教授)
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モデル・1978年静岡県浜松市生まれ。2男2女のママ(15歳、13歳、10歳、5歳)。モデルとして雑誌、webやCMなどに出演。夫婦で手がけるフードユニットkatarite(語り手)や、子育てにまつわるコラム執筆など多方面で活動中。2022年よりNPO法人neomuraの広報にも携わる。