原作・阿久井真が語る佐伯直の真実「彼の設定は初期段階から頭の中にありました」

「青のオーケストラ」　
毎週日曜 Eテレ 午後5：00～5：25
再放送 毎週木曜　Eテレ 午後7：20～7：45
※放送予定は変更になる場合があります。
【番組HP】https://www.nhk.jp/p/ts/3LMR2P87LQ/

☆8月のアニメ「青のオーケストラ」は、以下の放送が休止になります。
8月6日（日曜）／【再放送】8月10日（木曜）
8月13日（日曜）／【再放送】8月17日（木曜）
8月20日（日曜）／【再放送】8月24日（木曜）
☆放送再開は、8月27日（日曜）の予定。

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アニメ「青のオーケストラ」の第17話「もう一つの本音」の中で、佐伯直が意を決して青野一に告げた衝撃の言葉。
「俺の父親は青野龍仁だ」
ドイツで生まれ育った佐伯の祖父は、ドイツ人。その祖父が他界した後に、佐伯は日本人の祖母と一緒に日本で暮らし始めた。しかしながら、彼の両親については、これまで語られていなかった。
そんな中で、初めて明かされた真実。

原作に接することなくアニメを見ていた視聴者にとっては、驚愕の展開と感じられたことだろう。
2年前に報道された龍仁のスキャンダルの相手は、佐伯の母親であるソプラノ歌手。その報道がきっかけで、青野一はヴァイオリンを手離しているため、佐伯も無関係というわけではなく……。
ここに至り、「青のオーケストラ」は音楽を題材にした青春ものであると同時に、人間ドラマとしての深みを見せ始める。それは当然、これから描かれていく「音楽」に収しゅう斂れんしていくのだ。
以前、ステラnetに掲載した阿久井真先生のインタビュー記事では未公開にしていた、青野一と佐伯直の関係に関するコメントの一部をここで紹介していこう。

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「本当にやっていいよね？」と、漫画を描く前に何度も確認しました

――定期演奏会を目指して練習を重ねていく中で、物語は予想外の展開を迎えることになりますが、佐伯直が自分の父親は青野龍仁だと告白する場面は、「青のオーケストラ」という作品の構想段階からイメージされていたのでしょうか？

阿久井　そうですね。佐伯の生い立ちについては、どんな物語を描くかを考える、かなり初期のころから頭にありました。この作品は、音と音、人と人とのつながりをテーマにしていて、主人公であるヴァイオリンの元天才少年・青野一の「復活の物語」でもあります。その復活の道のりを描く際に、一度は音楽を辞めるきっかけになった父・龍仁のことを「思い出さざるを得ない、何か」を入れたいと思ったんですね。

一方で、主人公のライバル的な存在を登場させることは先に決めていて、それこそ青野のキャラクターを細かく作り込む前から、佐伯のデザインは出来上がっていたんです。そして第1話を具体的に考えていくときに、父親が原因で青野家の絆が壊れてしまうことと、ライバルの男の子を絡めてみたらどうだろうかという提案を、担当編集の小林さんから受けました。

小林　やっぱり普通のライバルよりは、ちょっと「漫画的な嘘」ではあるのですが、そこに関係性を持たせたほうがドラマとしておもしろくなるんじゃないかと思ったんですよね。天才少年と称されていた男の子が弾けなくなってしまう理由を考えたときに、幼少期から楽器を始める子は親に習うケースも多いので、その家庭が壊れたのかもしれない、と。それで、父親を忘れたい青野にとってライバルもその問題に関わるような話になりました。そこから青野の物語が少しずつ動き始めて、高校に入学して佐伯と出会う前に「この子はちょっと意味深な描写にしよう」と決めていました。

阿久井　それでも、青野と佐伯が実は兄弟であるということを、どのタイミングでどうやって明かすのか、考えるのはかなり苦労しました。いざ漫画で、その事実を打ち明ける回を描く前には、小林さんに「本当にいいよね？　やっていいんだよね？」と何度も確認したのを覚えています。漫画の更新日（作品は、漫画雑誌アプリ『マンガワン』とウェブ漫画サイト『裏サンデー』で掲載されている）は、私、本当にドキドキしていました。

小林　あれは、いろいろ大変でしたよね。すごく苦労したところで。

阿久井　たぶん私は、この場面がアニメで放送される日も、とても心拍数が上がっていると思います。

◎さらに詳しい青野と佐伯の関係性についての阿久井先生のコメントを、9月3日に掲載します。

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取材・文／銅本一谷