「青のオーケストラ」 
毎週日曜 Eテレ 午後5:00~5:25
再放送 毎週木曜 Eテレ 午後7:20~7:45

※放送予定は変更になる場合があります。
【番組HP】https://www.nhk.jp/p/ts/3LMR2P87LQ/


み、見られちゃった......。

思い出して恥ずかしさに顔を赤らめる、ハルちゃんの表情ときたら!!!
このエピソードは、原作漫画「青のオーケストラ」が持っているさまざまな魅力の中の、「青春ラブコメ」的なパートを象徴しているように思っていたので、アニメではどんな感じで描かれていくのか気になっていました。それこそ、第1話の青野くんが「周囲の世界をシャットアウト」しているような描き方とは、大きくテイストが異なっていて。硬軟の使い分けというか、緩急自在な演出も秀逸ですね。2nd ヴァイオリンのパートリーダーを務めている米沢千佳先輩が、容赦なく青野くんを追いつめてきます(笑)。律っちゃんの「ハルに変なこと すんなよ」オーラも、かなり増幅されていたし。

ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

というわけで第6話「雨の日」は、青野くんたちがオーケストラに入部し、夏の定期演奏会に向けて本格的な練習を始めるところからスタート。


青野一(声:千葉翔也)は、秋音律子(声:加隈亜衣)や佐伯直(声:土屋神葉)、小桜ハル(声:佐藤未奈子)と一緒にオーケストラ部に入部し、定期演奏会で弾くビゼーの「カルメン」前奏曲のパート練習に取り組んでいた。2nd ヴァイオリンの一員となった律子は、周囲との実力差からたびたび演奏を止めてしまい、経験者の立花静(声:Lynn)に「みんなの足 引っ張ってるのがわかんないの?」と言われてしまう。
翌朝、早めに学校に来て練習をする律子を見かけた青野は、彼女に「自信持って弾いていいと思うよ」と声をかけた。
梅雨を迎えるころ。土曜日の学校へ練習に向かった青野は、途中で雨に打たれて、ずぶ濡れに。タオルで体を拭きながら音楽室に入ろうとするが、そこには……。


立花さんの言葉は相当キツいけれど、品があって優雅な音色を奏でる彼女のようにヴァイオリンを弾きたいと考えている律っちゃんは、練習の時間をさらに増やします。早朝の小音楽室で、そんな律っちゃんに青野くんが告げた言葉は……。

お前って下手だけど、音はデカいよな。

律っちゃんが思わず「あんた ケンカ売ってんの!?」と反発するような一言だけれど、その言葉の真意は別のところにあって。自分の音がまだまだだと思っている人は、音を出すことを恥ずかしがったり、周囲に気を遣って堂々と音を出せなかったりする。だからこそ、自分の音をどんなときでも精一杯出そうとしている律子を「すげーな」って認めているし、そこからの「自信持って弾いていいと思うよ」なわけですね。

ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

そう、律っちゃんは、中学のときから、がんばってきたんだもの。最初のころに比べると、こんなに成長しているじゃない?

♪パッヘルベル「カノン」
演奏:山田友里恵

そして青野くんが律っちゃんに「お前と音を合わせるのを楽しみにしているよ」と声をかけた、まさにそのとき。小音楽室の前には、偶然ハルちゃんが居合わせていて。青野くんたちの会話を聞いていて、明らかに表情を曇らせていましたね。
そんなハルちゃんの存在感は、今回からぐっと増しています。青野くんのことを明確に意識していて、青野くんと律っちゃんの関係も気になってしまう……。なぜ、彼女がそんな素振りを見せているのか? それは次回、5月21日に放送される第7話「小桜ハル」で明かされるはず。


雨の土曜日。鮎川先生(声:小野大輔)の指揮による、オーケストラ部の合奏練習が始まった。
厳しい指導で表現を追究していく鮎川の妥協のない姿に、青野は不意に父親のことを思い出してしまい、譜面を追えなくなって演奏箇所を間違えてしまう。
練習が終わり、帰る時間になっても、雨は降り続いていた。青野は、強風で傘を壊されてしまった小桜ハルと、一緒に帰ることに。そのとき、ハルは……。


ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

「キュン」だぁ!(笑) そして、ここから先、青野くんとハルちゃん、律っちゃんとハルちゃん、それぞれが抱えている思いや人としての関係性が、さらに深く深く描かれていきます。中学時代のエピソードも伏線になっていくから、原作コミックスや録画を見直すのもよし、配信で追いかけるのもよし。定期演奏会までドラマチックな展開が続いていくので、見逃さないようにしたいですね!

それにしても。
立花さんが、なぜあんなにキツい言い方をしているのか? 彼女の優雅な演奏とは違って、あえて不協和音を奏でようとしてるかのような物言いですよね。ただ、原作を読破している方たちにはわかってもらえると思うのだけれど、彼女には彼女なりの考え方があって。そのあたりまで今回のアニメの中で描かれることはないかもしれないけれど、律っちゃんとお互いにわかり合える日が来るといいな(気になる方は、原作の第52曲「後悔と一歩」あたりをチェックしてみてください)。私は「お当番回」を楽しみにしています。

ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

第6話「雨の日」の再放送は、Eテレ 5/18(木曜)午後7:20~7:45。
見逃し配信は、NHKプラスで5/21(日曜)午後5:25 まで。
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2023051421534?cid=jp-3LMR2P87LQ

追記
ちなみに先日、青野くんの声を担当されている千葉翔也さんに話をうかがった際に、「お前って下手だけど、音はデカいよな」の場面を、好きなシーンのひとつとして挙げてくださいました。その理由は……? 近日公開予定のインタビュー記事で、ご紹介します!

カツオ(一本釣り)漁師、長距離航路貨客船の料理人見習い、スキー・インストラクター、脚本家アシスタントとして働いた経験を持つ、元雑誌編集者。番組情報誌『NHKウイークリー ステラ』に長年かかわり、編集・インタビュー・撮影を担当した。趣味は、ライトノベルや漫画を読むこと、アニメ鑑賞。中学・高校時代は吹奏楽部のアルトサックス吹きで、スマホの中にはアニソンがいっぱい。

☆これまでの感想記事は、ここに(https://steranet.jp/list/category/stera_aniken )。