「青のオーケストラ」
毎週日曜 Eテレ 午後5：00～5：25
再放送 毎週木曜 Eテレ 午後7：20～7：45
※放送予定は変更になる場合があります。
【番組HP】https://www.nhk.jp/p/ts/3LMR2P87LQ/
なんか、あっという間に見終わった！
放送は25分なのに、体感だと10分くらい？
内容に対する満足感ゆえですね。原作の阿久井真先生が執筆の際、映像化を全く考えずに描いていたという「演奏バトル」は、実際に音楽がつくとこんな感じになるのか......。原作読後のイメージが、さらに鮮明になった印象。演奏を担当した東亮汰さんと尾張拓登さんの、自分の音を主張して相手に挑みかかるデュオ演奏という、ほかでは絶対に聴けない（プロの演奏家は、相手の音を聴いて合わせるのが当然だから）一点モノで。アニメ化って、すごい。
第5話「原田蒼」は、海幕高校オーケストラ部ヴァイオリン・パートのセレクションで、青野一（声：千葉翔也）と佐伯直（声：土屋神葉）が、ヴィヴァルディの「四季」より＜春＞を演奏するところからスタート。佐伯の挑発するかのような演奏に青野も全力で応じ、2人の高度な演奏は聴く者を魅了していく。激しくぶつかり合いながらも、どこか楽しさを覚える2人。コンサートマスターの原田蒼（声：榎木淳弥）は、その演奏を称賛した。だが、青野の父親のスキャンダルを思い出した入部希望者の声に、青野は過去の苦い記憶を甦らせてしまう。そのとき彼の心のわだかまりを消したのは、パッヘルベルの「カノン」を楽しそうに弾いた秋音律子（声：加隈亜衣）の音色だった。
その後、上級生たちの合奏練習を見学した青野は、原田を中心とした弦楽メンバーが奏でた「四季」より＜春＞の調べに大きな衝撃を受ける。音を合わせるというのは、こういうことなのか……。父親のスキャンダル以降、何を目指してヴァイオリンを弾けばいいのかわからなかった青野は、自分がどこに向かって進むべきなのか、おぼろげながら見えてくる。
あらすじを少し長めに書いてしまったけれど、第5話は放課後にオーケストラ部の見学をした青野くんが、学校からの帰り道で入部を決意するところまでだから、劇中では数時間しか経過してないんですよね。その短い間に、佐伯との演奏バトル→セッションして刹那、感じる楽しさ→フラッシュバックする父親との確執→律っちゃんの演奏で消される暗い記憶→上級生に教えられる「合奏」の意味→入部に対して前向きに、という流れを一気に見せてくれて。
いやはや、濃密な時間でした。
そんな青野くんの心に刺さった、先輩たちの演奏はこちら。
♪ヴィヴァルディ「四季」より＜春＞」
演奏／Solo Vn：マリア・ドゥエニャス
この演奏を聴いた青野くんの反応は……。
だせぇなぁ、俺。まったく同じ曲を弾いたのに、まるで別物だ。
悔しさと恥ずかしさを感じて、思わず拳を握ってしまう青野くんだけど、そう感じちゃうのは、しかたないと思うよ。こんなに圧倒的な演奏を目の前で聴かされたら。でも、だからこそ、前に進み始めことができたわけで。
その演奏の中心にいたのが、「音と踊っているみたいだ」と青野くんが評した、コンマスの原田先輩。爽やかな笑顔と汗の輝きで、女子たちのハートを全部持っていきます。
まさに「原田マジック」炸裂！
思わず「原田先輩のヴァイオリンになりたい」と呟いた新入生女子と同じように、心を奪われた視聴者の方も多いのかな？（原作通り「ズギューン!!」の文字テロップもあったぞ。笑）
そんな原田先輩の存在が、これから青野くんが進む道の指針になるのだとしたら、彼の名前の「蒼」は、隠された意味を持っているのかもしれない。「青」の行く先に「蒼」があるとか。考えすぎかな？ 何はともあれ、原田先輩の今後の活躍に期待です。
と、書きつつも。
私が今回、いちばん心を動かれたのは、やっぱり律っちゃん。過去をフラッシュバックさせた青野くんの背中を叩き、強いまなざしで「下、向いてんじゃないわよ」と気合いを入れて、その直後に披露した「カノン」。その演奏は、まだぎこちなさが残るものの、半年間練習を続けてきた成果が見え、飛躍的な上達ぶりで。律っちゃん、めちゃくちゃ上手になってるじゃん！
そしてヴァイオリンを弾く楽しさが伝わってくる音色が、またしても青野くんを救って。あっ、第2話の青野くんが河原で弾いた「カノン」が、ここに繋がるのか。それを音で表現してくれた、律っちゃん担当の山田友里恵さんの演奏もお見事！！！
土屋神葉さんが演じる佐伯直の「また君と弾けたらうれしい」という言葉の温かさと併せて、思わず涙したポイントでした。
さて次回、5月14日に放送される第6話は「雨の日」。
青野たち1年生にとっての初舞台となる、夏の定期演奏会。佐伯とともに1st ヴァイオリンの練習に参加した青野は、大人数で音を合わせることの難しさを知る。一方、2nd ヴァイオリンに加わった律子は、立花静（声：Lynn）ら経験者との実力差を痛感。それでも、ひたむきに取り組んでいく。そして雨が降った、授業のない土曜日。顧問の鮎川先生（声：小野大輔）を指揮者として迎える前に、部員たちによる合奏練習が行われる。
予告編では、立花さんのちょっぴり不穏な声も聞こえてきて。彼女の発言の真意が伝わらないと、しばらくの間、悪役扱いされちゃうかなー。今はまだ語れないけれどね……。
ということで、次回もがんばれ、律っちゃん！（←え、青野くんの立場は？
第5話「原田蒼」の再放送は、Ｅテレ 5／11（木曜）午後7：20～7：45。
見逃し配信は、NHKプラスで5／14（日曜）午後5：25 まで。
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2023050716573?cid=jp-3LMR2P87LQ
追記
ちなみに、今回は、「N響×青のオーケストラ コンサート」（放送情報は、こちら）が行われた、池袋・東京芸術劇場のモニターでの（ほぼ）リアタイ視聴でした。大きなスクリーンで、響きの良いホールで、たくさんのお客さん、3人の声優さんと一緒に作品を見ることができた、とてもぜいたくな時間でした。このコンサートの舞台裏リポートは、近日、記事化の予定。お楽しみに！
カツオ（一本釣り）漁師、長距離航路貨客船の料理人見習い、スキー・インストラクター、脚本家アシスタントとして働いた経験を持つ、元雑誌編集者。番組情報誌『NHKウイークリー ステラ』に長年かかわり、編集・インタビュー・撮影を担当した。趣味は、ライトノベルや漫画を読むこと、アニメ鑑賞。中学・高校時代は吹奏楽部のアルトサックス吹きで、スマホの中にはアニソンがいっぱい。
☆これまでの感想記事は、ここに（https://steranet.jp/list/category/stera_aniken ）。