金魚の町として知られるやまこおりやま市では、大みそかが近づくと「砂の道」が作られます。奈良・大和路の民俗行事の撮影をライフワークとする藤山リポーターが、年の瀬の風景を紹介します。

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「砂の道」は、新しい年に年神様を各家に迎えるための神様の通り道。神聖な道です。大和郡山市しらつち町の白坂神社では、三角に盛り上げた砂を拝殿から鳥居まで引いて、砂の道を作ります。昔は家まで道を作ったそうですが、道が舗装された今は砂で滑らないように、鳥居を越えたところで止めています。

地元の氏子が境内を掃き清め、一筋の砂の道を作っていく。白坂神社。
年が明けると氏子が砂の道を踏まないように気を付けながらお参り。白坂神社。

また、天理市がい町の神社や奈良市の神社でも似たような風習が見られます。昔から続いてきた砂の道には、厳かに新しい年を迎え、無病息災で幸せに過ごしたいという氏子の願いが込められているのです。

佐紀神社は、道ではなく、こんもりとした砂の小山 「砂モチ」が作られる。
大和郡山市・春日若宮神社では、拝殿だけでなく、摂社・末社にも砂の道が作られる。
三十八神社の砂の道。

撮影/藤山好典、松本純一


藤山 好典 (とやま よしのり)

奈良県広陵町在住。仕事のかたわら、奈良の祭りや風景を撮影しブログで紹介。「日本列島くらしのたより」に出演中。

(月刊誌『ラジオ深夜便』2022年12月号より)

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