新・介護百人一首

贈られた
幾多のパジャマ
手付かずに
雲の上でも
着せてやりたし

北海道中野正幸 72歳)

岐阜県 眞弓璃乃

詞書

最後の一年は病院着のため、せっかくの兄弟からのプレゼントは着ることがありませんでした。

感想コメントをいただきました

茂木健一郎

ものはあくまでもモノであるけれども、そこには人の心がこめられている。だからこそ、何かを前にしたときに私たちの心の中にはさまざまな物語が立ち上がり、いのちの流れが生み出されるのでしょう。もう必要なくなってしまったものも、何らかの思いが込められたモノでもある。もし「天国」ということがあるならば、そのような心の姿はそこに届くのではないでしょうか。そんなことを目の前にあるパジャマを見ながら想う人生の時は素敵です。

茂木健一郎

1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究。文芸評論、美術評論などにも取り組む。NHKでは、〈プロフェッショナル 仕事の流儀〉キャスターほか、多くの番組に出演。