新・介護百人一首

エンシュアの
缶であふれる
シンクにも
春のひかりは
やわやわと差す

兵庫県大江美典 35歳)

兵庫県 パンダン

詞書

栄養剤にたよるようになった祖父。栄養剤の缶だらけになったシンクにやりきれない思いがすることもありますが、それでも変わらず春は私たちのもとへやって来ました。

感想コメントをいただきました

浜内千波(はまうち・ちなみ)

元には戻らない祖父さまの様子に、どうにもならない気持ち、途方に暮れる気持ちがエンシュアの缶の冷たさに感じつつも、春のひかりは優しく慰めてくれているように感じとっている様子からは、現実を納得しなければといけないという心の葛藤を感じます。

浜内千波(はまうち・ちなみ)

昭和30年生まれ。徳島県海陽町出身。大学卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。その後ファミリークッキングスクールを開校。雑誌や書籍をはじめ、テレビ、ラジオ、講演会、料理イベントで活躍。食材の味を生かした料理、野菜料理は特に定評がある。