最後の○○ ~日本のレッドデータ~「草彅剛が迫る最後の技術第4弾」
放送予定:8月12日(金) 午後10:00~10:59(BSプレミアム・BS4K同時放送)
MC:草彅剛、川﨑理加アナウンサー ナレーター:川栄李奈 ゲスト:舞の海秀平

世界で唯一無二の職人の技、「最後の○○」に光を当て、不屈の信念や生きざま、知られざる価値に迫る知的探求ドキュメンタリー。番組MCの草彅剛さんに、収録後の心境や印象をお聞きしました。


——「最後の〇〇」の収録も4回目ですが、いかがでしたか?

草彅 4回目は東京での収録でしたが、今回の職人さんたちもすごく刺激的でした。こんな方がいるんだと、楽しかったです。

——相撲のお話はいかがでしたか?

草彅 日本の国技である相撲に関わる、あるモノがなくなってしまうのかと。もう職人の方がいなくなってしまい、今残っているものでやっていることも知らず、ちょっと考えさせられる部分がありましたね。お相撲さんは土俵に上がるまでさまざまな準備をして土俵に立っているんですね。これから相撲の見方も変わるんじゃないかな。びっくりしました。
 

——相撲にちなみ、草彅さんは「土俵際に立たされた」経験はおありですか?

草彅 今ですね(笑)。上手にコメントを言わなくちゃいけないというプレッシャーが。「最後の〇〇」の面白くて深い感じを分かりやすくどう伝えるか、土俵際に立たされている感じです(笑)。改めてすごい番組だなと思っています。

——炭焼き職人の方のお話では、印象に残った言葉はありましたか?
 

草彅 職人の方は感謝の気持ちを忘れずに、すごいモノを作られています。もっと天狗になっていいのではないかと思うんですが、誰一人そういう人がいない。そういうところも職人さんに憧れます。皆さんの根底に流れている感謝の気持ちが共通している気がします。だから僕は職人になれないんだなと。全部つながって自分がその仕事に就けていると口にされるんですよね。自然の中で逆らわず、黙々と自分の作業を突き詰めている。そんなコメントを聞けたのが印象的ですね。

——炭焼き職人の木戸口さんは、第二の人生を炭焼きに懸けたという方でした。草彅さんが第二の人生を送れるとしたら、やりたいことはありますか?

草彅 デニムを作ってみたいですね。デニム職人としてオリジナルデニムを作り、ビンテージのような風合いが出せるよう作ってみたいなと思いますが。

——今からでもできるのでは?

草彅 いや、無理ですね。モノづくりって関係性を築かなくてはいけないと思うんです。今からやるとしたら10年くらいかかりそうです。デニムの世界も厳しいと思うので、急に僕が行っても門前払いですよ。すぐに結果が現れるものじゃない。そういうところでコツコツやってる職人さんの姿が、皆さんにも何かヒントになるんじゃないかな。「最後の〇〇」は、人生のヒントになる番組だと思います。毎回そう思いますね。

——今回から新しいミニコーナーが始まりました。ゼツメシという郷土料理はいかがでしたか?

草彅 ナレーションのトーンがポップで、これまでと雰囲気がちょっと変わる感じですね。ああいうナレーションの入れ方もあるんだなと勉強になりました。職人というと、かたくななイメージがありますが、軽い感じも出ていいですね。地方を訪れた時に思い出して皆さんにも立ち寄ってもらいたいです。僕も新しい楽しみが一つ増えました。

——草彅さんは、地方に行ったら必ず食べるものはありますか?

草彅 名古屋でしたら手羽先、味噌カツ。これは絶対マストです。やっぱり名古屋といえば名古屋めしです。また名古屋に向かいたいと思いますので、職人魂を皆さんも受け取ってください。

——草彅さんはふだんから相撲をご覧になりますか?

草彅 相撲好きな友達がいて、興味があります。今日はよく知っている舞の海さんにもお会いできました。日本の国技で常に話題性もあり、身近なものという感じです。

——相撲にも実は「最後の〇〇」になるものがたくさんあることを知り、いかがでしたか?

草彅 ちょうどそういう時代なんだなと思いました。古き良きものがどんどんなくなり、職人さんの世代的にも転換期。そこに僕らはいるんですね。だからこそ大切にしなくてはいけないときであり、新しく構築する時代なのかなと思わせてくれるVTRでした。

——研磨炭のお話はいかがでしたか?

草彅 生活の中であまり研磨するという経験はないんですが、職人さんがいなくなると、伝統のある漆塗りなどにも多大な影響が出てくるという。一人の職人の方が作っているものにより、現代アートや日本の伝統的なものも支えられているんですね。

——漆器など伝統的なものをふだんからお使いになっていますか?
 

草彅 漆の食器は持っていますが、そんなに高級なものではないです(笑)。これからはそういうものを見てみようかなと思います。履いているブーツやジーンズ、ギターなどもやっぱり職人さんが作っているので「最後の〇〇」は好きな番組なんですよね。基本的にモノが好きなので、テンションが高くなります。そこにストーリーがあり、どうやって作っているのか、モノを作る人の思考にもすごく興味がありますね。

——草彅さんの質問に、職人の方もうれしそうにお話されていましたね。

草彅 そうですね。好きだからできるんだと思います。大変なことを乗り越えてきた人の顔ですね。職人の方に会うと僕自身も前向きになれて、やっぱり諦めちゃいけないんだなと思います。最初からうまくいくことなんてない。失敗することもありますが、失敗があるからこそ成功できる。番組を見る皆さんも励まされるのではないかと思います。

——周りに支えられたという職人さんのお話もありました。

草彅 一生懸命やっているから周りも助けてくれる。炭に懸ける思いも伝わるんでしょうね。日頃から真摯に炭と向き合っているからこそ、そういうことが起こるんじゃないかと思います。

——草彅さんは、長い芸能活動の中で試練はどのように乗り越えてこられたのでしょう?

草彅 「何とかなるんじゃないかな」と前向きに考えます。立ち止まってもいいし、振り返ってもいい。でもまた必ず歩み続けることが大事なのかなと思います。ゆっくり一歩一歩という気持ちでやっていますね。職人さんを見ていてもそう思います。焦らず、2歩進んで1歩下がるくらいの気持ち。後退している時もあるかもしれないけど、それでも地道にコツコツと歩き続けるのが人生じゃないかなと思います。

——番組に登場したさまざまな道具の中で、興味をそそられたものはありましたか?

草彅 以前の回ではオイルランプや砥石、今回は炭にも興味が湧きました。やっぱり自然が作るものはすごいなと思います。砥石も炭も自然の材料を生かして職人さんが手を加える感じで、職人の方々が「そのもの自体の良さを引き出すための手伝いをしているんだ」というようなことをおっしゃるのがグッと来ます。自然が作り出すものをお借りし、少しだけ手を加えるような感謝の意識が共通していると思います。すごいですよね。自分は一つの円につながっていく自然の中の流れの一部という考え方がすばらしいなと思いました。その意識はすごくすてきで大事なことだと、番組を通して改めて思っています。