7月18日(月・祝)海の日に、千葉県の流通経済大学・新松戸キャンパスにて​​、多様なアートを通して、学生・アーティスト・地域の方々とのつながりを広めることをテーマとしたイベント「海の日アートフェス〜みんなでつながる・あなたとつながる〜」が開催された。

キャッチフレーズは「誰一人取り残さない。コモンズ(共有空間)を目指して」。
これは流通経済大学の学生たちがみずから考えた。その思いは、このイベントに参加した多くの学生からも伝わってきた。
早速、「つながり」を感じる瞬間が多く見られたイベント内容を紹介しよう。

今回のイベントは、大きく分けて3つのプログラムで構成されている。
・学生やアーティストによる「ステージショー」
・「読み聞かせワークショップ」
・「であうアート」「トーイ&アート」展示・ワークショップ

まず、入口を抜け最初に目に入ってきたのは、おもちゃで装飾された、カラフルで大きな木馬。

この印象的な木馬が展示された1階のホールでは、障がい者アーティストによる絵画などの作品「であうアート」、使われなくなったおもちゃをアートに再生した「トーイ&アート」が展示され、多くの来場者でにぎわっていた。

「トーイ&アート」では、不要な製品を価値ある製品にアップグレードする「アップサイクリング(創造的再利用)」というSDGsの観点から、使われなくなったおもちゃでランタンを作る体験コーナーを開催。

小学生のお子さんと一緒に参加していたお父さんは、

ただ捨てられてしまうはずだったおもちゃが、何かしらの形でまた使われていくことはすごくいいことだと思いますし、今回親子で共同作業ができるいい時間になりました

と満面の笑顔。

また「であうアート」では、障がい者アーティストの豊かな感性と繊細なタッチでつくられた作品の数々を展示。ひとつひとつの作品と熱心に向き合う来場者の姿に、作る人と見る人の心をつなげる“作品の力”を実感した。
秋には、「であうアート展2022」が開催されるという。魅力的な作品との出会いが、いまから待ち遠しくなる。

さらに、実際に絵を描くことができる体験コーナーも設置されていた。
ここでは「海の日」にちなみ、「水のいきもの」をテーマに“作画でつながろう”という試み。来場者が思い思いの生き物を描く様子が印象的だ。

また今回、来場者の注目を集めていたのが、TBS・皆川玲奈アナウンサーと元NHK「おはよう日本」キャスター 星野豊さんによる「読み聞かせ教室」。

子どもから年配の方まで、さまざまな世代の参加者が集まり、皆川アナウンサーの表情豊かな優しい声と、星野さんの包み込まれる温かい声に聞き入っていた。会場は、アットホーム感がただようすてきな空間に。

そして、メインイベントとなるステージショーでは、5つのパフォーマンスが披露された。
【ACT-1】知的障がい者チアリーディング
【ACT-2】 “⾳”のアート
【ACT-3】 であうアート
【ACT-4】トーイ&アート
【ACT-5】ダンス・パフォーマンス

※ステージショーのレポート記事は後日掲載します。お楽しみに!

ステージショーの終了後、多くの来場者が、ステージ上の学生やアーティストに向かって笑顔で手を振る姿があった。今回のイベントが、成功裏に幕をおろしたことが感じられたワンシーン。
「みんなでつながる・あなたとつながる」を達成することができたのでは  
そう感じさせてくれる瞬間だった。

この「海の日アートフェス」で、多くの来場者とつながりを持つこと、作ることをめざし、個々のプロジェクトで活動してきた流経大の学生たち。「障がい者チアリーディング」「であうアート」「トーイ&アート」など、それぞれの取り組みのなかには、懸命にいまの時代と向き会おうとする彼らの思いがあふれていた。

これまで、コロナ禍により充実した大学生活を過ごせなかった学生も多いだろう。オンライン授業により、友人をつくることができなかった学生もいるだろう。思うように、課外活動や部活動ができない日々を過ごしてきた学生もいると思う。

しかし、今回の「海の日アートフェス」に参加したことで、学生どうし、地域の人々、そして障がいの有無にかかわらず多くの来場者がアートを通してつながりをもち、未来への希望を感じることができたのではないだろうか。

流通経済大学がつくったこの「つながり」が、今後どのような未来を創るのか、大いに注目していきたい。

1999年、茨城県生まれ。女子校出身のトランスジェンダー。当事者としての経験をもとに、理解ある社会の実現に向けて当事者から性に悩み戸惑う方、それを支えようとする方への考えを発信する活動に従事する。