これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
朝起きて、天気がいいと気持ちがいいですよね。心も体も元気が出てきます。反対に、雲が一面に広がって、今にも雨が降りだしそうな空模様だったら、憂鬱な気分に……。その理由、あなたは知っていますか?
答え:現代人が働き者だから
詳しく教えてくれたのは、明治大学で進化心理学を研究している石川幹人教授。
私たちの気分が天気に左右される理由は、現代人が持つ〝遺伝情報〟と関係していると言います。
石川教授によると、人類は、進化の過程で「晴れた日には活動的になり、天気が悪い日には休息モードになる」という遺伝情報を持つようになってきたと考えられます(体の仕組みでいうと、自律神経の交感神経と副交感神経の作用による)。
実際、産業革命以前は、多くの人々が農業や漁業によって生計を立てていたので、「晴れの日は働いて、雨の日は休む」という暮らしが合理的とされていました。
ところが、産業革命のあと、世界中の多くの人々は、天気とは関係なく、一年中働き続ける〝働き者〟になってしまいます。
すると、保有する遺伝情報と、直面している現実にギャップが出ることに。
つまり、空がドンヨリしているような日、私たちの体は遺伝情報に基づいて休息モードに入っています。
にもかかわらず、実際には、雨が降ろうと雪が降ろうと、いつもどおりに働かなくてはなりません。そんなせめぎ合いの結果、憂鬱になってしまうというわけです。なんだか、せつないですね。
(NHKウイークリーステラ 2021年9月24日号より)