水原希子インタビュー　女性科学者役に挑戦！

こんなにかっこいい女性がいたなんて！

猿橋勝子さん。こんなにすばらしくてかっこいい女性がいたなんて、恥ずかしながら知りませんでした。今回、演じるにあたっていろいろ学ばせていただいたのですが、知れば知るほど、「もっと早く知っていたら……」と、そして、「みんなにも知ってほしい！」と強く思うようになりました。特に女性の皆さんにはぜひ。猿橋さんの存在や生き方を知ることで、勇気をもらえる女性は、たくさんいるんじゃないかと思います。

私がいちばん惹ひかれるのは、猿橋さんが、自分がやりたいことを、周りから何を言われようとも守り抜いたということです。女性というだけで進む道を制限されたり、戦争を体験したりという過酷な時代の中、彼女は流されることなく、自分の研究を諦めずに追求していく。その姿に、とても刺激を受けました。女性としても、人としてもリスペクトできる人。大好きですね。ある意味、私の理想像です。

というのも、30代を迎えて、私、「これからはやりたいことを何としてもやる」と心に決めたんです。自分自身が本当にやりたいこと、自分の心がときめくものに全力のエネルギーを注ごうって。だから、このタイミングで、それを実行に移してきた、お手本のような猿橋さんに出会えたことは、本当にラッキーというか、ありがたかった。

まるで、「そう、その生き方でいいんだよ」と言ってもらえたようで――。私も、猿橋さんがそうだったように、自分が信じる道を迷わず進んでいく、そんな女性でありたいと思っています。

尊敬する猿橋さんを演じるにあたって

私が思う猿橋さんは、勝ち気で、自分の夢に向かって突き進んでいく、すごく強い女性。一方、とてもチャーミングなところもあって。それを自分なりに表現できたらと思って臨みました。

ただ、科学者ということで、セリフの内容を理解するのに苦労したシーンも……。でも、新しいことを発見する喜びや猿橋さんが研究を通して持ち続けていた地球への思いは、人として共感できると思ったので、そこを大事に演じました。

それから、今回はダンスにも挑戦させていただいて――。「え？　科学番組でダンス？」って、最初はびっくりしましたが（笑）、お話をうかがっていくうちに、芸術的で魅力的なアプローチだなと思って、こちらも、やっぱり気持ちを大切に踊らせていただきました。

振り付けと指導をしてくださった森山さんからも、「とにかく気持ちを大切に踊ってほしい」と言っていただいたこともあって。猿橋さんが生きた時代、そこで彼女が経験したこと、選んだ生き方、願いなど、猿橋さんの物語を集約して表現しました。少しでもそれらを感じていただけたらうれしいです。

（NHKウイークリーステラ　2021年12月17日号より）