再放送:12/22水曜 BSプレミアム
午後11:45〜0:44

(初回放送:12/16木曜 BSプレミアム・BS4K 午後10:00〜10:59)

「コズミック フロント」で大好評のドキュメンタリードラマシリーズ。今回は、日本の女性科学者の先駆け的存在・猿橋勝子を取り上げる。今日の地球環境問題を語るうえで欠かせない、多くの研究成果を残した猿橋。演じたのは、いま最も目が離せない女性の1人、水原希子だ。この2人が“出会った”ことで起きた化学反応とは?


Who is SARUHASHI KATSUKO?

猿橋勝子(1920-2007)

地球科学の分野で、戦後すぐから活躍。オゾン層や海の二酸化炭素の解明など、地球環境問題の解決に大きく貢献する研究を行った。1954(昭和29年には、ビキニ環礁の水爆実験で降った“死の灰”を分析。太平洋で大規模な放射能汚染が起きていることを明らかにし、世界的に高い評価を受けた。1980(昭和55)年には女性初の日本学術会議会員に選ばれ、さらに、優れた女性科学者に贈る「猿橋賞」を創設するなど、後進の育成にも力を尽くした。

今回の見どころ
芸術的かつ哲学的な演出!

番組のオープニングとエンディングに、水原によるダンスを取り入れた画期的な演出に注目! 振り付けを担当したのは世界的なダンサー・森山開次。オープニングでは、どこか化学記号を思わせる手の動きによって“女性たちの心の叫び”を、エンディングでは、全身を使って力強く、科学者・猿橋勝子の“地球への思い”と“飽くなき好奇心”を表現したという。科学番組ながら、あえて五感に訴える演出。見応えのある美しい映像に乞うご期待!

この番組ならではの、星空の美しいCGを加えることで、さらに幻想的な仕上がりに!

地球科学の黎明れいめい期を知る・学ぶ!

オゾンホールが大きな問題となったのは1980年代初頭だが、勝子はその約30年前にオゾン層についての論文を発表。また1950年代には、地球温暖化の鍵となる海中の二酸化炭素の謎の解明にも挑んでいた。そして地球規模の放射能汚染を引き起こした、ビキニ水爆実験*(上写真)にまつわる研究も……。常に先見の明を持ち、地球環境に貢献する研究に生涯をささげた勝子の生き方を通して、地球科学の発展を見つめる。

*1954年、アメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験。日本の漁船「第五福竜丸」が巻き込まれ、乗組員が被ばく。無線長が死亡したほか、水揚げしたマグロからも放射性物質が検出されて世界的な問題に。その後、勝子らが明らかにした太平洋の放射能汚染の実態は、国内外の反核運動の大きな後押しとなった。

放射能汚染の真相究明のため、単身アメリカに渡った勝子。自身の分析結果を否定され、心が折れかけるが……。

勝子の激動の人生をドラマで!

勝子の人生を大きく変えた生涯の師・三宅泰雄は、筒井道隆(左)が演じる。

1920(大正9)年、東京で生まれた勝子。子どものころから好奇心旺盛で、高等女学校卒業後も、自分の興味がある分野の勉強を続けたいと願うが、当時の女性にとって、それは相当に高いハードルだった。勝子は、立ちはだかる多くの壁や逆境をどう乗り越え、いかにして世界で評価される科学者となったのか。水原が渾身こんしんの演技で再現する。

「私、科学者になります」と宣言する勝子。しかし、両親は猛反対だった。

(NHKウイークリーステラ 2021年12月17日号より)