これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。
「ふとんがふっとんだ」「そんなバナナ」などの、いわゆる〝おやじギャグ〟。こういったおやじギャグを、周りの反応お構いなしに繰り出してくるのは、確かに、中高年男性が多いようです。驚きのその理由とは......?


答え:脳のブレーキがきかなくなっているから

詳しく教えてくれたのは、脳科学者の茂木健一郎さん。
実はおやじギャグは、「中高年男性の脳の働きの特徴から生み出されてくるもの」だと言います。おやじギャグが生まれるのは、 脳の「側頭連合野」。言葉についての記憶や情報が蓄えられている部分です。
ここに、ある言葉が伝わると、蓄えられていたほかの言葉が響きあって反応。結果、あのおやじギャグたちが誕生してくるのです。

そして、この連想記憶(ひとつの記憶からほかの記憶を思い出すこと)の能力は、年齢を重ね、ボキャブラリーが増えることで高まっていきます。
ある実験では、30代から上昇し、だいたい50代でピークを迎えることを示唆するデータも。つまり、おやじギャグとは、連想記憶の達人となった中高年男性だからこそ生み出せるものなのです。

側頭連合野は、いわば“脳の国語辞典”。例えば、「きょうの昼食はバナナよ」と言われた場合、キーワード「バナナ」と似た響きの言葉が次々浮上。その中から、状況にあわせて最もふさわしい言葉、「バカな」を発見。この2つの言葉の神経細胞のつながりが強まった結果生まれてくるのが「そんなバナナ」というおやじギャグなのだ。

ちなみに、同じ中高年でも、“おばさんギャグ”がないのは、女性の場合、連想のしかたが男性とは異なるから、とのこと。
例えば、「バナナ」と聞いたら、「バナナを買って帰ろう」「バナナクレープ食べたいな」など、より生活や行動に即したものになる傾向にあるためと考えられています。

(NHKウイークリーステラ 2021年6月4日号より)