ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、田沼意知おきとも役の宮沢氷魚さんから!


宮沢氷魚さんの第22回振り返り

──第22回で、松前まつまえ藩のぬけ(密貿易)の証を見つけられたら身請けすると誰袖たがそで(福原遥)に約束しました。意知の本心をどう捉えていますか?

この時点では、誰袖に手助けをしてもらうことへの交換条件として、身請けを持ち出したと思います。誰袖をつなぎ止めるための口実ですね。ですが、この後意知は徐々に誰袖にかれていきます。共に過ごす時間が長くなればなるほど、どんどん気持ちが動いてくるというか。その辺りの意知の感情や、二人の関係性の変化にも、ぜひ注目していただきたいですね。

──22回のラストで、蝦夷えぞ地のあげ(領地を召し上げること)について「そなたも一つ仲間に加わらぬか?」とつたじゅう(横浜流星)に告げましたが、どんな思いでしたか?

あのシーンは、初めて蔦重とふたりきりになるシーンだったので、強く印象に残っています。ついに物語の本筋に足を踏み入れた、という感覚でした。

意知が蔦重を評価しているのは、彼が物おじせず、切れ者で、アイデアが斬新だから。そして何より、意知が最も信頼している父・意次おきつぐ(渡辺謙)が蔦重のことを買っていることが大きいです。それに、蔦重と縁をつないでくれたのは、誰あろう亡き平賀源内げんない(安田顕)。いろんな要素が重なって、蔦重を信頼するに至ったと思います。

演じる中で気づいたのは、意知は普段屋敷の中で生活しているため、案外市中のことを知らないということ。市中の情報を得るために、信頼できる情報網を確保しておきたいという思惑もあって、蔦重を仲間に入れようとしたのでしょう。頭の良い意知ならではの発想だったように思います。

──横浜流星さんとの共演の印象はいかがですか?

一緒のシーンがほとんどないので、ほとんどお話しできていません。共演の方とあまりコミュニケーションが取れずに撮影に入る場合、お芝居が難しいときもあります。でも、横浜さんにはそれが一切ありません。開放的なお芝居をされる方なので、あれこれ気を使わず真正面からぶつかれるんです。お芝居させていただくと、とても気持ちいい時間を共有できる方だなと思います。