夜、空を見上げると、星々が瞬いています。この星空は世界につながっているのです――。星を愛し、その魅力を発信する国立天文台天文情報センター・准教授の縣秀彦さんが、「言うことなし」と太鼓判を押すニュージーランド・テカポの星空へといざないます。
聞き手 坂田正已この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2025年5月号(4/18発売)より抜粋して紹介しています。
テカポの空は言うことなし
――最近、星空の名所を巡る「アストロツーリズム」が注目されていますね。
縣 はい。星はどこでも見られますが、明かりが少なく空気が澄んでいる星空は本当にきれいです。星を見るには泊まらなければなりませんから、昼は観光して夜に星を見る、アストロツーリズムで町おこしをする自治体も増えました。
――海外ではニュージーランドのテカポ湖がおすすめとか。
縣 羊を見ながら車で走ること3時間半。テカポはニュージーランドの南島にある人口約500の小さな村で、手つかずの自然が広がっています。周辺には山々が連なり、最高峰のマウントクックや氷河など、見どころもいっぱいです。そこに広がる星空はすてきすぎて、何も言うことはありません。ホテルを出たとたんに満天の星が瞬いています。
私は昨年の10月に行ったのですが、ちょうど太陽の活動が盛んな時期で、空が赤っぽいんです。南緯44度で、北緯でいえば知床と同じくらい。普通は高緯度で現れるオーロラがここでも見られて、撮影したら赤くはっきり写ったんです。南半球なので、日本では見られない南十字星や大マゼラン雲・小マゼラン雲が見え、もう圧巻でしたね。

あがた・ひでひこ
1961(昭和36)年、北アルプスの麓・長野県大町市に生まれ、星に興味を持つ。中・高等学校教諭を経て、国立天文台で天文の教育・普及に尽力。著書に『面白くて眠れなくなる天文学』ほか。「不思議あふれる 身近な世界」に出演中。
※この記事は2025年1月27日放送「世界の星空名所を訪ねる~ニュージーランド・テカポ」を再構成したものです。
世界中で成功している星空観光や、星空への思いなど、懸さんのお話の続きは月刊誌『ラジオ深夜便』5月号をご覧ください。
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