日本を代表する超一流のエンジニアたちが極限のアイデアと技術力を競う「魔改造の夜」。モノづくりへの熱意と白熱の競技、制作までの人間ドラマが見るものをきつける。

今回、「魔改造の夜」とは何なのか、主宰である魔改造倶楽部の関係者に、素朴なギモンをなげかけて話を伺うことにした。


骨の髄までモノ作りが好きな超一流エンジニアたちが、企業や大学のプライドをかけて夜会に参加する

——そもそも「魔改造」とはなんなのか、夜会ではどのような意味でとらえていますか?

第12回「ワニちゃん水鉄砲 バースデーケーキろうそく消し」より
第4弾 「ペンギンちゃん大縄跳び」より

魔改造倶楽部関係者 「もともと“魔改造”とは、既製品のフィギュアを個人の好みに合わせて改造することや、既製品を作り替えて大きく逸脱した形にするという意味があります。番組での魔改造とは、限られた材料費の中で『おもちゃ』や『日常の家電』、『日用品』を大の大人たちが真剣に改造し、えげつない“モンスターマシン”を生み出すことを指しています。モンスターたちは、夜会と呼ばれる『魔改造の夜』でお披露目いただき、そしてモンスターを同士を競い合わせて勝負をしていただきます」

——参加チームは、どのようにして決めてらっしゃるのですか?

第11回「電動マッサージ器 25mドラッグレース」に参加したチームたち

魔改造倶楽部関係者 「当初は、さまざまな情報やツテ、あちこちの催しやコンテストなどに足を運んで参加をお願いしていました。今では、番組ホームページでも募っていて、それらすべての中から、毎回3チームに参加いただいています。一流企業はもちろん、技術に卓越した会社、未来の技術者を育てる大学。骨の髄までモノ作りが好きな超一流エンジニアたちが、企業や大学のプライドをかけて参加してくださっています」

担当Dが1か月半べったり張り付いて撮影

——各チームの制作期間中、伴走(帯同)されていると聞きましたが、どのように撮影されているのですか?

第7回「ホームベーカリー パン大食い競争」より
第10回「キックスケーター25m綱渡り」より

魔改造倶楽部関係者 「1週間に1回『どうなっていますか?』的にのぞいて撮影しているわけではないんです。各参加チームに担当ディレクターがついて、1か月半の間、ほんとにベッタリ張り付いて撮影しています。リアルに制作のやり取りを毎日見ているので、この時点では精度が今一歩な段階だとか、どこに悩んでいるのかとか、チームの一員のように一瞬一秒を撮影しています。メイキングがすごく面白いって言ううれしいお声もいただきます」

——ちなみに、各チームの試技が全部失敗になったことはありましたか?

魔改造倶楽部関係者 「それはこれまでありませんでした。でも、撮り直しなしの一発勝負ですので、6回とも全部失敗したら番組として成立するのだろうかと、いつもハラハラドキドキしています(笑)。以前の放送で、最初の第一試技は各チーム全部失敗された時がありまして、いや、これは、もしかしたら成功して喜んでいるシーンがない番組で終わるのだろうかっていう時もありました。各チームの実力がそのまま出せればいいのですが、本番の夜会の会場は若干状況が違うので、実力が発揮できない可能性も相当あると思います。魔改造倶楽部が主宰する夜会なのに心の中は不安でいっぱいです(笑)」

全部思い出せるぐらい、どの回も印象的

——これまで印象に残った夜会は?

第1弾 「トースター高跳び」より

魔改造倶楽部関係者 「本当にどれも印象的で、毎回、見たことないものを見たなって思いますね。参加されているチームは、すごく生真面目な技術者が多かったり、逆に野武士みたいな感じの技術者がいたり、全然キャラが違って本当に楽しいです。さらに競技内容が毎回違うので、新鮮な気持ちです。そんな中でも、第1回の「トースター高跳び」は忘れられない夜会のひとつですね。ポップアップトースターで食パンをどこまで天高く上空に飛ばせるかを競い合ったのですが、あるチームがグルグル回して遠心力で上に飛ばそうとしたら、逆に食パンが地面にバンッてたたきつけられたんです。もうみんな死ぬほど爆笑して、そのチームも悔しがりながらも爆笑して、エンタメとしても最高でした。本気でやっているからこそ、失敗してもこれだけ面白くなるんだと思いましたね。競技なのに和気わき藹々あいあいと笑ったり、他の人が失敗したら一緒にもらい泣きしたり、なんか不思議な空気の共有感も生まれて、印象深い夜会でしたね。でも、全部思い出せって言われたら、全部思い出せるくらいどの回も印象的です(笑)」

第8回「カメレオンちゃんダーツ」より

次の闘いも必見 トイレットペーパーを投げる⁉

めちゃくちゃなお題を苦しみぬいて魔改造されたモンスターマシン。1か月半の思いを知っているからこそ、相手へのリスペクトが深くなる。ライバルチームであるのに、自分たちがやっていたかのような表情をみせ、相手チームとともに喜び合う。その光景はまさに戦友そのもの。夜会と称される「魔改造の夜」は、モノづくりという枠を超えたヒューマンドキュメンタリーでもあるわけだ。機械に興味がない人でも番組を見るとなぜか目が離せないのはそんなところなのだろう。

次回の「魔改造の夜」は、2月27日(木)放送の「魔改造の夜 トイレットペーパーホルダー ペーパー投げ」。薄い紙を切らずに、どれだけ遠くまで投げられるかを競います。目標の飛距離は30m。紙は強く投げるとすぐ切れてしまう。この超難題を1か月半の制作期間で、各チームとも驚きのアイデアで衝撃の投げ方を開発します。参加チームは、「O阪工業大学」「Oレック」「M田製作所」の3チーム。ペーパーが飛行機雲のように宙を舞う! 見たことない興奮・感動を見逃すな!


「魔改造の夜」第16回  トイレットペーパーホルダー ペーパー投げ

2月27日(木) 総合 午後7:30~8:42
出演:魔改造倶楽部
   顧問/伊集院光、伊藤亜紗(東京科学大学教授)
   実況/矢野武
   解説/長藤圭介(東京大学大学院准教授)