きくあやさん(65歳)は、1980年代からテレビのリポーターとして全国各地を飛び回ってきました。2020年1月、遠距離介護を経て94歳の母をみとったことをきっかけに、自身の終活を意識するようになったと言います。

聞き手/遠田恵子この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年12月号(11/18発売)より抜粋して紹介しています。


体力のあるうちに終活を開始

──お母様をみとられたことは、ご自身の終活を考えるきっかけにもなったそうですね。

菊田 母の葬儀や納骨を済ませて東京に戻ると、コロナですべての仕事がキャンセルになっていました。そこで、コロナ禍が過ぎたときに役立つものを身につけようと思ったところ、以前仕事で取材した「終活」が頭に浮かんだんです。

「終活ガイド」という、終活のスペシャリストになるための資格の勉強をすると、老齢期には何が起こり、何をしておくべきか、どんなことを片づけておけばいいか、母の晩年に経験したことが分かりやすく整理されていました。

──すでに終活を一度体験された感じ。

菊田 はい。そこで感じたのは、80代になってやろうとしても、終活は一人ではできない、ということ。体も脳みそもね。

相続をどうするか、家の片づけや家そのものをどうするか、さまざまな書類の準備……。母は何もしていませんでした。母には娘の私がいたからよかったけれど、私が自分のことを頼むとしたらおいっ子かめいっ子になってしまう。そう考えて、常に終活を頭に置いて生きるようになりました。

──終活への思いをまとめた『エンジョイ!終活』という本も出されていますね。具体的なアドバイスをご紹介いただけますか。

菊田 最初は断捨離から入るのがいいですね。迷惑をかけずに暮らすにはまず安全の確保。家の中は荷物が多いでしょう。それが結構危険なんです。棚の上の鍋、大きいおすしのおけやお重。もう使わないものは全部捨てて、手の届くところに使いやすいものだけ残すんです。

それから足元にらっきょうや梅干しの瓶を置かない。つまずき防止です。そんなふうにキッチンやクローゼットなどをすっきりさせると、自分の考えもすっきりしますよね。

──人間関係の断捨離はどうでしょう。

菊田 お中元・お歳暮はだいぶ前からやめて、60歳で年賀状や暑中見舞いもやめました。最後の年賀状には「今年をもって年賀状納めとしますが、今後もSNSなどでおつきあいをお願いします」と。すっきりしましたよー。

人との交流も、年代によって変わってくるもの。小さく、大事なおつきあいのみに狭めていくのも大切かなと思います。頭があっちこっちに行かなくなりますから。

──周りは好きなものだけ、好きな人だけにするんですね。

菊田 それがシンプルでいいですよね。例えば頂き物のきれいな器は、ホームパーティーのためにとっておく。タオルのストックがたくさんあるなら、古いものは雑巾にして、きれいなものをどんどん使う。片づけてスペースが空いたら、お花を飾ったり小さな生き物を飼うのもいいですね。

自分が生き生きと生きるために力を使いましょう。還暦を迎えた節目とか、コロナ禍などで住まいに変化があったとか、リモート生活が中心になってきたとか、そういうきっかけは終活を始めるチャンスになります。

※この記事は2024年8月22日放送 「終活は人生を謳歌するため」を再構成したものです。


“終活”も“推し活”も日々楽しんでいる菊田さんのお話の続きは……月刊誌『ラジオ深夜便』12月号をご覧ください。

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