来年1月より放送予定のプレミアムドラマ「TRUE COLORS」。トップフォトグラファーとして活躍する主人公・立花海咲(倉科カナ)が、あることをきっかけに、18年ぶりに故郷の天草に戻ることから始まる、大人のヒューマンラブストーリーだ。ドラマ「グレースの履歴」などを手掛けた源孝志が原作・脚本・監督を担当する。
9月29日、作品の舞台の一つである熊本県天草市でドラマの出演者による会見が行われ、海咲役の倉科カナさん、海咲の同級生である漁師・松浦晶太郎役の毎熊克哉さん、海咲の継父・辻村多一郎役の渡辺謙さんが登壇。撮影の意気込みなどを語りました。
高校卒業後に天草から上京し、今はファッションフォト業界のトップフォトグラファーとして活躍している立花海咲(倉科カナ)。イタリアのトップデザイナーからも厚い信頼を得て、その地位を確固たるものにしようとしていた。
しかし、海咲にはこのところ少し気になることがあった。それは、視力の低下。もともと軽度な色弱の自覚のあった海咲は、かかりつけの眼科の勧めで大学病院で精密検査を受けるが、そこで思いもよらない疾患を告げられる。カメラマンとして致命傷となりかねない状況に直面して困憊する海咲の元に、上京以来一度も会っていない妹から会いたいという便りが届く。
仕事を休むことになった海咲は、18年ぶりに故郷・天草の港に降り立つ。しかし、そこで海咲は、嫌悪感を抱き続けてきた継父・多一郎(渡辺謙)に遭遇し、過去の苦い記憶が蘇る。二度と戻るまいと決めていた故郷と会いたくないと思っていた男との遭遇に、ますます気持ちの沈んでいく海咲だったが、高校時代の親友・晶太郎(毎熊克哉)との再会をきっかけに折れかけていた気持ちに光が差し始めていく……。
【倉科カナさんのコメント】
天草のすごく壮大な自然と、地元の皆さんの温かさで作品によりいっそう厚みが出ていると感じました。天草で撮影できてうれしく思います。
また、脚本を読んですごく縁を感じました。私も熊本出身で、私の父も“かっちゃん”と呼ばれていたり、私自身も海咲同様、東京でキャリアを積んできて、「これでいいのかな」と少し立ち止まる時間が必要かなと感じていたときに、この役をいただいたので、心にくるものもありました。
熊本に帰ってくるとすごく充電されて、いやされるし、リフレッシュになるし、私は故郷が熊本でよかったな、と毎度毎度、思うんです。また撮影に入る前、監督から「毎日、写真撮ってね。カメラマンとしての感性を知りたい」と言われたので、写真は毎日撮りました。技術的なことはさておき、写真を撮ることが好きになりましたね(笑)。
本当にすてきな作品になるように頑張りましたので、楽しみにしていただけたらうれしいです。
【毎熊克哉さんのコメント】
僕自身は広島の出身ですが、毎熊家のルーツが長崎の諫早あたりにあることもあって、九州は昔から家族で旅行で訪ねていたんです。でも、きのう家族に確認したら天草は未踏の地だったらしくて、今回のロケで初めて足を踏み入れました。
映像的な表現が、今作の一つの肝になっています。天草出身の人物を1か月に渡ってこの地で演じられるのはとてもぜいたくなこと。今回の作品、源作品ならではのロマンチシズムとリアリティーにあふれているのですが、久しぶりに台本を読んでうるっとしてしまいました。物語が進んでいく中で、キャラクターの揺れ動く心情がものすごく感じ取れるような内容にもなっていて、この作品に参加できて単純にうれしく思います。
また、ロケに先立つ準備も重ねてきました。役のために船舶とバイクの免許を新たに取得しました。そして、昨年の夏頃に源監督から「港いちばんの水揚げが自慢の漁師の役だから、体を一回り大きくたくましくして欲しい」と頼まれたので、がんばって9キロ増やしました。自分にとってもかけがえのない作品になっていますので、ぜひご期待下さい。
【渡辺謙さんのコメント】
原作・脚本・演出すべて源孝志さんが手がけていますが、今回天草ありきで描かれていて、撮影も天草で行われています。通常役に入るときは、役と“ダブらせる”時間が少しは必要ですが、今回役がそのままこの地に根付いている感覚があったので、ものすごくスムーズに役に入れましたし、天草の風景や空気がしっかり役となじんでいる実感があります。熊本の方にも、天草の魅力を再発見できるドラマにもなっていると思います。
今作の一番の柱は「再生」だと思っています。海咲は今回つらい思いを背負って天草に帰ってきますが、自分が捨てた故郷に宝物がたくさんあって、それによって再生されてゆく物語になります。1本の映画では描ききれないだけの分量が、それぞれのキャラクターにのっかっています。「ドラマっていいよな」と思うのと同時に、僕も久々に泣ける脚本だと感じました。
またネタバレになるので詳しくは言えませんが、漁師の皆さんにご協力いただいて、感動を超えた「絵」を見せてもらえる圧巻の場面がありますので、是非お楽しみにしていただければと思います。
【新キャストも発表】
会見では、東京編、天草編にそれぞれ登場する新たなキャストも発表されました。
東京でファッションカメラマンとして活躍する海咲の恋人であり、高級ファッション誌編集長、巻上伸哉役に滝藤賢一さん。メイクアップアーティストの紀田順子役に名取裕子さん。海咲の写真の師匠、木嶋作太郎役に石橋蓮司さん。海咲のカメラ助手、藤島一平役に森永悠希さん。難病にかかった海咲を診察する眼科医役に要潤さん。
天草編では、約20年前に海難事故で亡くなった海咲の実父、立花勝男役に北村一輝さん。海咲の母親、辻村しのぶ役に賀来千香子さん。海咲の妹、辻村七瀬役に穂志もえかさん。晶太郎の母親、松浦百合役に宮崎美子さん。晶太郎の父親、松浦茂雄役に中原丈雄さん。海咲と晶太郎の高校の先輩、竹崎淳弥役に玉置玲央さん。海咲の高校時代の恩師である美術教師・加藤美徳役に加藤雅也さん。そして美徳の妻、加藤フランチェスカ役にシルビア・グラブさん。
その他、晶太郎を支援する福岡の画商、黒沢涼子役に伊藤歩さん、勝男の海難事故の真相を知る海難審判の理事官役に髙嶋政宏さん、といった豪華な俳優陣が物語を彩ります。
プレミアムドラマ「TRUE COLORS」(全9回)
2025年1月スタート
毎週日曜 NHK BS/BSP4K 午後10:00~10:49
毎週金曜 BSP4K 午後6:10~6:59(再放送)
原作:源孝志『わたしだけのアイリス』(河出書房新社刊)
脚本・演出:源孝志(「忠臣蔵狂詩曲 No.5 中村仲蔵 出世階段」「グレースの履歴」 ほか)
出演:倉科カナ、毎熊克哉 / 滝藤賢一、要潤、玉置玲央、森永悠希、穂志もえか / 名取裕子・髙嶋政宏・石橋蓮司 / 北村一輝、シルビア・グラブ、伊藤歩、宮崎美子、中原丈雄、賀来千香子、加藤雅也 / 渡辺謙ほか
制作統括:八巻薫(オッティモ)樋口俊一(NHK)
プロデューサー:井口喜一、田中誠一、伊藤正昭(ジャンゴフィルム)