表題の曲は、日本のバンド、シュガー・べイブが1975年に発表した作品です。メンバーには山下達郎さんや大貫妙子さんがいて、ユーミンや大瀧詠一さんなど数多くのミュージシャンのアルバムにコーラスで参加しています。
この曲は、1980年にEPOさんのカバー・バージョンがフジテレビ「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマとして使用されたことで、広く知られるようになりました。恥ずかしながら初めて曲を聴いたとき歌の舞台は“日本の下町”だと思っていました。ダウンタウンはビジネス街や繁華街など都心の中心部のことだと知ったのは、だいぶあとになってからのことです。
世界屈指のダウンタウン・新宿は今、大規模な再開発が進められています。新宿駅を中心に、東側には歌舞伎町をはじめとした飲食店や商業施設、西側には東京都庁など副都心の高層ビルが林立しています。このうち西側の駅前の風景が大きく変わろうとしています。
駅前に並んで建っていた2つの百貨店のうち、北側にあった小田急百貨店新宿店本館が姿を消しました。地上14階の建物は一昨年10月に閉館、間もなく取り壊し工事が始まりました。しばらくは足場とシートに覆われていたため解体の様子はわかりませんでした。ところが3月になったある日、いきなり足場が低くなり、そこにすっぽりと大きな空間が現れました。空間の中には青空が広がり、駅の東側の建物が見通せるようになりました。
小田急百貨店新宿店本館が開業したのは1967年。小学生だった自分に風景の記憶はありませんが、思わず足を止めてそのころの街の風景に思いを馳せました。跡地には地上48階・高さ260メートルの超高層ビルが建つそうです。完成予定は2029年。視界に広がる空間は再び狭くなりそうです。
もちろんのどかな眺めや自然あふれる景色には癒やされますが、朝陽でキラキラと輝く高層ビルや強烈な街あかりとは対照的な三日月の凜とした輝きも魅力的です。新しいダウンタウンの風景を今から楽しみにしています。
(よしの・きよし 第1・3水曜担当)
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2024年5月号に掲載されたものです。
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