これまでに放送された「素朴なギモン」とその答えを、忘れないように復習しておきましょう。今回は、この番組ならではの“問題作”から……。 甘くておいしいドーナツにまつわる、悩ましいギモン。 あなたも一度は考えたことがあるはず!?


答え:グレゴリーがかじを手放さなかったから……!?


詳しく教えてくれたのは、立教大学の外国語教育研究センター准教授の芝垣亮介さん。
そもそもドーナツの原型は、オランダで作られていた“ボール状”のお菓子「オリークック」といわれています。

1600年代、これがアメリカに伝わり、中央にくるみがのっていたことから、ドーナッツ「doughドー(生地)nutsナッツ(木の実)」と名付けられました。しかし当時は、まだ穴はあいていませんでした。

時は下って1941年、アメリカはニューヨークで、「ドーナツに初めて穴をあけたのは誰か?」をテーマに討論会が開かれます。

記録によると、結果、ドーナツに穴をあけたのは、アメリカ生まれの船乗り、ハンソン・グレゴリーであると決定。

1847年、嵐の中を航海中だったグレゴリーは、おなかをすかせてドーナツを食べようとしますが、海が荒れ、とても舵から手を離すことができない状態。

そこで、まだ穴のあいていなかったドーナツを、舵の取っ手に“串刺し”に――。これがきっかけで、中央に穴があいたドーナツが普及したというのです。

最初のリサーチでは、「嵐の中で船の舵をとっていたグレゴリーが、舵の取っ手にドーナツを刺して穴をあけたのが始まり」だと思われたが……。

ところが、グレゴリー本人がこの話を否定。ほかにもさまざまな説が ……。

グレゴリー本人は、 「少年時代に母が作った穴のないドーナツの真ん中が生焼けだったため、こしょうの缶で穴をあけた」と語っている。

従って、ドーナツの穴の理由は、今も「よくわからない」のです。

(NHKウイークリーステラ 2021年1月22日号より)