コロナ禍で一緒に過ごす時間が増えた家族と、ささいなことでケンカ。あとから自己嫌悪にも陥ることもしばしばで……。
人間関係の悩みがつきないあなたへ。ままならない自分の感情を上手にコントロールする方法を、心理学の専門家たちに教わりました!

●コロナ禍で悩みが増えた?

ネガティブな感情をコントロールしよう!

長引くコロナ禍で、人間関係に悩みをかかえる人が増えています。テレワークの増加によって家で家族との会話に困ったり、職場でのコミュニケーションがぎこちなくなったり……。しかし、ネガティブな感情が強くなりすぎたり、長引いたりすると、心身の不調を招くおそれも。そこで、心理学的見地から、自分自身の感情をコントールするワザを専門家たちに教わりました。不安な日々の中でも、少しでも心を前向きにして、明るい春を迎えましょう!

●イライラしたことを紙に書いて、眺めたあと、捨てる!

自分の感情が乗り移った“紙を捨てる”ことで、ネガティブな感情も捨てる

家族や周りの人など、“他者”に対する怒りやイライラを抑えるワザを、実験心理学を専門とする名古屋大学・川合伸幸教授に教わりました。それは、自身が感じている怒りの内容を紙に書き、それを少しの間眺めてから捨てる、という方法。怒りを文章にすることで、自分の状況を客観的に見られるように。さらに、思いを託した紙を物理的に捨てることで、自分の感情も消えてしまったと感じられるため、怒りが静まるというわけです。紙は、丸めても破いてもシュレッダーにかけてもOK。とにかく目の前から消してしまうことが大切です。

BSプレミアム「ヒューマニエンス40億年のたくらみ」より

このワザの効果を検証するため、被験者をわざと侮辱して怒らせて、怒ると活性化するという“左前頭部の活性の度合い”を計測。すると、紙の廃棄後には、確かに怒りがおさまっていることがわかった。


●あえて嫌なことについて考えながら、気晴らしをする!

嫌なこととは、ほどほどに向き合うほうが前向きな捉え直しがしやすくなる

嫌な経験をして落ち込んでしまったときに効果的なのは、その経験の捉え直しや気晴らしです。社会心理学が専門の鹿児島大学・榊原良太准教授によると、ある程度集中が必要な作業をしながらのほうが、過度に考えすぎずに、ほどよくその出来事に向き合えて、前向きな捉え直しにつながりやすいそう。このワザに向いているのは、頭より体を動かしたり目を使ったりする作業。切り絵、パズル、楽器の練習、また掃除や食器洗いなどの家事もおすすめです。

 嫌な出来事について、それを思い出しながら気晴らしをした人のほうが、気晴らしに成功した割合が多かった(早稲田大学総合人文科学研究センター・石川はるゆきさんの実験 )。


●ネガティブな感情が強すぎて悩んでいる人は……
“右手にぎにぎ”禁止! “7つのコラム”で心をラクに!

一度自己嫌悪に陥ると、思い詰めるあまり、自分の嫌な部分にばかり目がいって、さらに落ち込んでしまう……。そんなときに試してほしい“7つのコラム”を、千葉大学医学部附属病院・認知行動療法センター長の清水栄司さんに教わりました。やり方は簡単。下の7つの項目を上から順に埋めていくだけ。ネガティブに捉えていた事実の新たな面が見えてくると同時に、かなり気持ちが落ち着くはずです。

これは、“感情”と“考え”を切り離すことによるワザ。感情のコントロールは難しくても、考えの転換は可能です。そこで、考えをポジティブにすることで、感情もつられてポジティブにしていくというメカニズム。実際に、精神医療の現場でも効果が認められている方法です。これを繰り返し行うことで、自分のネガティブな癖に気がつき、バランスの取れた考え方を習慣化させることができるそうです。

➡検事と弁護士の言い分を、「しかし」でつなぐ=新たな面が見えてくる!

(NHKウイークリーステラ 2022年4月1日号より)